![]() | チョコレート工場の秘密 ロアルド・ダール/田村 隆一 J.シンデルマン 評論社 1972-09 |
以前BOOK BATONでもふれた通り、私が子どもの頃一番好きだった本はロアルド・ダールの「チョコレート工場の秘密」だった。
先頃公開された映画「チャーリーとチョコレート工場」のお陰でこの数十年来の愛読書がにわかに世間で注目され、あっちこっちで色んな人がこの原作について、映画について語っている。それらを見聞きするたびに沸き上がる一つ一つに首を突っ込んであれこれ語りたい気持ちを抑え、まずは映画化された当の作品を観ないことには…と悶々とする日々だった。昨日はあいにくの悪天で予定していた子どもの園行事が延期され、ヒャッホー!と小躍りしてさっそく娘と上映中の吹き替え版を観に行ってきた。そして今日、ようやく大好きなこの作品について思う存分語れると思うと、とても嬉しい。
始めにおことわりしておくと、私が幼い頃から親しんできたお気に入りの原作とは、今となっては旧訳版と呼ばれる田村隆一氏の翻訳によるものである。映画の公開に先駆けて柳瀬尚紀氏の手による新訳版が大々的に売り出され、既に絶版となっている旧訳版はすっかり入手困難になってしまったようだが、幸い私の手元には十数年前にどこかの古書市で偶然買った初期のハードカバーが残っている。奥付に「昭和55年 初版8刷」とあり、定価980円。いまや稀少本となった名作だ。
新訳の方は一度読んでみないことにはなんとも言えないが、田村氏の訳でこの本と出会い、その表現を暗記するほど繰り返し読んだ自分は、少なからず違和感を感じることになるだろう。
※旧訳版の復刊リクエストは、こちらへ。
この物語の魅力といえば、後半の奇想天外な世界が広がる工場内のエピソードもさることながら、貧しく平凡な少年が千載一遇のチャンスをものにするまでの紆余曲折を描いた前半部分も捨てがたい。最後の当たり券を手に入れられるかどうかのハラハラドキドキも楽しいのだが、何よりもチャーリーを優しく見守る家族の深い愛情に心が打たれる。誕生日プレゼントのなけなしの一枚をめぐって、チャーリーの失望を案じてそれぞれに気遣いを見せる大人たち。子供を持つ身になって読み返してみると、貧しいながらも精一杯、孫を息子を慈しもうとする彼らの思いが痛いほど分かるようになり、なお切ないのだ。
そしてダールは、貧乏故に子どもにとって一番必要な食べ物(=愛情)だけをふんだんに与えられて育ったチャーリーと相対するように、裕福ゆえにスポイルされてしまった子ども達のあわれな姿を痛切に描き出す。今読むとこの対比は子ども達への教訓というより、オトナたちへの問題提起のように思えて、作者の洞察力に恐れ入る。子どもはみな素晴らしい可能性を持った存在であるが、扱いを間違えればあっという間にモンスターになってしまう。愚かな親たちは、可愛い我が子の真の姿を見せつけられ、その責任を取らされたのかも知れない。もっとも、それで気が付けばいいけれど…。
ところで以前こちらのエントリーでも述べたように、この物語の核となる工場主のウィリー・ワンカ氏は、私が思うフィクション界きってのエンターティナーであり、愛すべき「上質な変人」である。誰にも理解できない深い孤独を抱えた彼は、愛されたいが故に人を楽しませることに必死にならずにはいられない生まれながらの芸人なのだ。彼が世に送り出す魅惑の菓子の数々は、世界中の子ども達へ向けた彼なりの愛情表現とも言えよう。
全てを持つ孤独なオトナと、愛しか与えられるもののないちっぽけな存在である少年が巡り会う運命の物語。私はこの作品のテーマをそんな風に読み解いている。
さて映画の方の感想だが、一言で言うなら「予想以上に原作に忠実だった」と思う。それでいてやはりこれは、紛れもないバートン作品として完成された作品であった。制作側の原作への深いリスペクトがバートン一流のこだわりとなって作品中に満ちていて、双方のファンである私は始めから終わりまで感激の思いが絶えなかった。
バートンによるリメイク、それだけでこちらの期待はウナギ登りではあったのだが、多くのファンに評価されているとおり、チャーリーとその家族のライフスタイルは完璧といってもいいぐらい原作に忠実に再現されていた。狭いベッドから思い思いに孫への愛情を表現する老人達と、それをそっと見つめるバケット夫妻の姿は旧作のJ・シンデルマンの挿絵そのもので、貧しい一家の希望の灯火として愛情一杯に育つチャーリーの姿に目頭が熱くなった。欲を言えば、私が原作の中でお気に入りだったジョーじいさんのへそくりでチャーリーがチョコを買ってくるシーンがあっけない終わり方でちょっと物足りなかった。原作では(読者と同様に)運命を信じ、知らず知らずのうちに当たりが出ることをかなり期待していた自分たちのこっけいさを笑い飛ばすジョーじいさんの姿が描かれていて、逆境にめげず人生を楽しむこの人物が作者ダールの姿と重なり、作品をより味わい深いものにしていた。一見ダークなストーリーに隠された、人生に対するポジティブなメッセージ…ダールの作品にはそんな一粒で2度おいしい粋な作品が数多くある。
ところで、観る前の前評判から私が唯一気になっていたのは、私がこれまで抱いていたワンカ氏のイメージとジョニー・デップの端整な顔立ちがどうしても相容れなかったという点だ。ワンカ氏を演じるにはデップはあまりにも美しい役者だ。美しすぎる変人は人を怯えさせるものだ。異質な存在感が際だちすぎて、変人というより狂人に見えてしまうのではないか…? 案の定、彼を主役に据えたことで作品のカラーはかなりブラックなものになっていた。私の知っている原作のワンカ氏はあくまでもイノセントな変人かつ芸人で、彼の持ち芸披露の結果としてたまたま居合わせた愚かな親子に教訓がもたらされるというプロットが痛快だったのだが、バートン映画のウィリー・ウォンカはかなり屈折した、明らかに他人に対してある種の敵意を持った人間として描かれていたのである。
結果としては原作にないウォンカ自身の生い立ちストーリーを絡めることで、さすがバートン、うまくまとめたなという印象だが、私はこのバートン風味のアクの強さがこの映画の何よりの魅力であると思う。
カカオ増量でよりビターになったオトナ用ワンカのとびきり特製チョコレート。その甘美でスパイシーな風味は、かつてオリジナルの味に夢中になった人にこそ味わって欲しい。
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愚かな親というのには同感です! 悪い子どもたちよりも、その原因を作った大人を皮肉っているように強く感じますね。貧乏な子が最後に幸運を引き当てるという物語の構造は昔話的な感じがありますが、その真の中身はチャーリーが甘やかされずに育ったことこそ幸運の資格を得たように思えます。そして何よりチャーリーはワンカのチョコレートが好きだったことも重要なのかな、と思えてしまいます。(他の子はワンカのチョコレートのファンというよりも、金色の券そのものを当てる行為に興味を持っていたように感じられます)ワンカのチョコレートファンのチャーリーは伝統の味を守ってくれることでしょう。
追伸:記事中で当ブログの記事までご紹介いただきありがとうございました。
いつもながら長ったらしい私のレビューをお読み頂き、ありがとうございます。
そうそう、ダール氏はいつも、コドモの味方である人だと私は思っています。オトナに対してはかなり辛辣な態度を取る作家さんですが。そこがまたいいんです。
映画はとても面白かったです。バートン節が好きかどうかで評価が分かれる作品だと思いますが、少なくとも原作を大切に思う監督の気持ちは伝わってきました。
表現方法が違うのに、どちらも愛すべきものになるのは、ある意味すばらしいことですよね。デビルマンの映画を張り切って舞台挨拶ごと観にいった時に、ドン引きした記憶がよみがえりました。ひどかったんですよ〜〜
TBありがとうございましたv
えほんうるふさんのレビューを読んで、感心する点が山盛りでした。
私はまだまだ浅いなあ。。。
特に私としては、自分が感じた観心地の悪さのひとつ「ワンカ氏って意地悪過ぎないか(!−?)」について、答えが得られて大層スッキリしました。
早く原作を読んで、「フィクション界きってのエンターティナー」ワンカ氏に会いたいと思います( ̄∇ ̄)。
そうそう、「違いもまた愛せる」って素敵でしょ? バートン嫌いじゃなかったら、是非観てね!
ところでデビルマンはどうひどかったの? すごい気になる…。
そうなんです、映画のウィリー・ウォンカは相当屈折してて、見るからに危険人物でしたね。もっとも、あの毒気あってこそのバートン映画なのですが(笑)
原作はできれば、田村訳をおすすめします。
【たまごのなかみ】の mayumi です。
本日は、ご訪問ありがとうございました。
良い機会ですので 少し いろんな方の目に あの文章が触れればいいかな...と思いまして TBさせて頂きますね。
それにしても、えほんうるふさん 絵本の守備範囲 広いですねぇ。
私も今年の春まで 12年間 おはなし会を主催したり 人形劇をしたりしていましたが、絵本選びは つい自分の趣味に走ってしまいがちでした。
また、遊びに来ます。
ありがとうございます。(*^_^*)
上質のチョコレートのようにまろやかでコクがあって、
作品への愛がいっぱい溶け込んだえほんうるふさんのレビュー、心から堪能しました!
どうもありがとう!!
(大丈夫、いうほど長くないですよぉ。
中身がしっかりつまってる、おいしいチョコみたい♪)
グッドラックのいう、
「夢ある結末か、説教くさいエンディングか」
のナゾ(?)の答、えほんうるふさんのおかげでわかったような氣がします。
それは、「愛」をそこに感じ取るかどうか。
魔女さんがなぜか好きで、忘れられなかったシーン。それは、一行がピンクのお砂糖の船で船出したとき、ワンカさん(というか、ウォンカさんというか、悩むなあ)が骨と皮ばかりのチャーリーとおじいさんに、“あたたかいチョコレートの川”からチョコをすくってさしだすところ。あの川のあたたかさが、そのまま人の思いのような氣がしていました。
・・・ワンカさんのつくるチョコは、さぞかし人を幸せにするんだろうなぁ。一抹の涙の味が、隠し味になってたのかもしれない。ワンカさんに大切な“家族”ができた後は、さらにさらに美味しい幸せ味のチョコに、なったんだろうなぁ。
オトナノトモへようこそ!来て下さってとても嬉しい。(ワンカ風)
私もたくさんの方にmayumiさんのあの文章を読んで欲しいと思っています。特に、あの点にひっかかってる人みんなに。
mayumiさんも絵本がお好きな方だったんですね。いや、あそこまでダールの原作を読み込んでいらっしゃる方ですもの、当然ですね。
私の絵本選び?「走ってしまいがち」どころか、完全に自分の趣味で選んでいます(笑)しかもストライクゾーンはあくまでも狭く深く…でも、絵本ブログ仲間が増えてきて世界が広がりつつあります。
えほんうるふのとびきり特製レビュー、楽しんで頂けたようで光栄です♪ チョコに例える魔女さんのセンスはさすがですね!
ああ、あのシーン。確かにあのシーンでは、ウォンカ氏byジョニーが私のもつワンカ氏のイメージに重なっていました。でもあの映画ではチャーリーの方がウォンカ氏よりよほど血色がよく見えましたね(笑)
色んな人のレビューを読んで、また映画を観たくなりました。今度観るときは、絶対お気に入りの板チョコを用意して、かじりながら観ようっと。
mayumiさんのところでの魔女さんのコメント、読みました。
「せっかくだからみんなで分け合う」そんな魔女さんが、私はやっぱり好きです♪
“そんなえほんうるふさんが、ますますすきになりました”。(=^^=)
そういうのは“ぬけがけ”っていうのよ!!
それは魔女さんのセリフだぞ!!
ところで、チョコレートの川と滝ならぬチョコレートの噴水、
“チョコレート・ファウンテン”をつくる道具というのがあるらしいことを、最近知りました。
シャンパン・タワーに似てるけど、こっちのほうがずっといいな〜♪
はじめまして、さりです。
田村 隆一氏訳する「チョコレート工場の秘密」に愛着を感じている一人です。
何よりも嬉しかったのは、二十数年前たった一度だけ呼んだその本、検索をしても目にすることができなかったハードカバーの表紙をこちらで見つけたことでしょうか。
映画を見に行ってきましたが・・・ ブラック!!
この一言で表現する以外なんともいえない後味の悪さを感じたのですが、えほんうるふさんの記事を拝見し、私自身感じていた事が全て書かれており感激いたしました。そして(私って浅はかだわ〜)とちょっぴり反省もしたのです。
>カカオ増量でよりビターになったオトナ用ワンカのとびきり特製チョコレート。その甘美でスパイシーな風味・・
この表現がすばらしいと思いました。様々の角度から作品を捉えていらっしゃるえほんうるふさんの並々ならぬ愛着を感じました。
小学生の頃にとても美味しかったミルクチョコレート、大人になってビターチョコを味わえるのも新しい発見ですよね。
可能性がある、ばかり大合唱しないで、あっさりモンスターになる、ってことも言わないといけないですよね。次々にモンスターを繰り出す“モンスター製造工場”みたいな親がいっぱいいます。
ぼくの周りでも映画が評判なのですが、ぼくはさっぱり知らないのです。田村氏の翻訳を探したのですが異様に高いので、原作で読むことにします。
実は原作も読んでないし、映画も観ていません。ぜひ読んで、観てみたいと思いました。
それで驚いたのが初版の訳者が故田村隆一氏であることです。
私の青春は田村隆一はじめその周辺の詩人の詩抜きには語れないほどです。
こんなところで出会うとは驚きです。
また来ます。
では。
うちは、グッドラックのお散歩経路になってるのかな? 声かけてくれれば、いつでもミルクの一皿ぐらいごちそうしますので、是非。
チョコレート・ファウンテンかぁ…。ソーダ・ファウンテンのココア版みたいのかしら。どっちにしろ、おいしそう!
こんにちは、初めまして。ようこそオトナノトモへ!
私の拙い文章に共感して頂き、とても嬉しく思います。数十年も前に一度読んだだけで、このような思いこみの激しい文章に頷いて頂けるとは、よほどさりさんにとって田村版「チョコレート工場の秘密」は強烈な読書体験だったのでしょうね。
映画の方は、もともと私がバートン好きだからこそ、それなりに楽しむことができたんだろうな…と思っていたので、私と同様に原作に思い入れのある方の感想が伺えてなんだかホッとしました。この映画のレビューは今ネット上に山ほどありますが、意外と原作を読んでいない人が多いのです。そんな中、私の記事にトラックバックしていただいている、たまごのなかみ/mayumiさんのレビューは原作への思い入れから映画の内容を補足する素敵なレビューとなっていますので、是非読んでみて下さいね。
さすがenzianさんらしい目の付け所ですね。あの映画では、ウィリー・ウォンカ当人こそが「扱いを間違ってモンスターになってしまった元コドモ」の最たるものして描かれていました。かなり極端な表現でしたが、親心に痛切に響くものがありましたよ。
田村氏版、高いのですか…。もともと本国でベストセラーなのですから、原書で読むに超したことはないでしょう。私もいずれ是非読もうと思っています。
こちらこそ、ご無沙汰しております。新学期が始まりましたね。さぞお忙しくなさっていることでしょう。
ところで、私は田村氏の詩作の方には疎いのです。是非その世界に触れてみたいと思います。ありがとうございます。
先日新聞で読んだのですが、原作について旧訳派と新訳派にわかれているそうですね。
やっと原作を図書館から借りれるようになった(と言ってもいつ手元にくるかはわかりませんが)のですが、これは、両方読んでみないといけないかな?と考えています。でも、旧訳は入手困難なんですか…
ダールの他の作品も一緒に読む予定なので、しばらくはダール漬けでしょうか。
こちらもTBさせていただきます。
コメントとTB有難うございました。
バートンは本当に原作に忠実に映像化してくれましたよね。
感謝の念すら感じます。
私もえほんうるふさん同様、ジョニデはウォンカさんにしては二枚目過ぎると心配してたんですが、彼なりの素晴らしいウィリー・ウォンカを演じきってくれました。
観る前の心配は全くの杞憂でした。
おひさしぶりです!
私は映画を見てから原作を見た派なのですが、この原作は、「小さいとき読んだ児童文学の中で一番好き!」という方がけっこう多いですよね。
私も小さいとき読んでいたかった!
とにかく最初に、テレビCMのジョニー・デップの妙にかわいらしい笑顔にうたれて、すぐ映画を観に行き、その後何人もの方に、原作いいよと言われて、図書館で予約。
そうして来たのが、田村隆一さんのほうでした。
実はその前に、新版を買おうかと思ったのですが、私もあとがきとか、訳し方がうるさすぎて、好きでなかったので、予約待ちをしたのです。
私の記事をトラックバックさせていただきます。私のほうもトラックバックをあけておきますので、お時間のあるとき、トラックバックしていただけたらうれしいですー。
この扉絵、すごく懐かしいですねぇ、
久々に見てちょっと感激です。
これってやっぱり絶版なんですか。
私もやっぱりこの本に愛着があるので寂しいです。
私もえほんうるふさんのこのページ、気に入ってしまいました★
絵本、実は大好きなんです!
「どろぼうがっこう」や「おしいれのぼうけん」「ねないこだれだ」の王道をはじめ、安野光雅がいちばんのお気に入りです★
絵本のブログ、楽しいです。扉もかわいいですね〜わたしのブログのブックマークに入れさせてもらいます♪
また遊びにきます今後ともよろしくお願いします〜。(長くなってしまったので、チョコレート工場のお話は私のブログのコメント返しで書かせてもらいます。。。!)
こちらの記事中の「上質な変人」という形容は素敵ですね。確かにちょっと映画版は意図的にマッドサイエンティスト然としてました。
「チャーリー〜」の原作本は、「何か高いなー」と悔しくてw未読なんですが、旧訳の存在も初めて知りましたし、改めて興味が沸いてきました。
また、他の絵本レヴューもじっくり読ませて頂きますね。
オトナノトモへようこそ。コメントまで頂けて嬉しいです。
新訳から入った人は、別に違和感を感じることなくそのまま受け入れられるようなので、どちらも読んだことがないのなら、とくに旧訳にこだわる必要はないかも知れません。私はただ、自分が親しんできたのがたまたま旧訳だったということなので…
ダールの作品はひねりが効いていてオトナでも楽しめるものが多いのでオススメです。私のイチオシは「ヘンリー・シュガーのわくわくする話」です。
こんにちは!(前回は扱いに慣れず、書き込みが変になりごめんなさい!)
たまごのなかみ/mayumiさんのコメント拝見しました。また違う角度から映画を捉えることが出来感心しました。
そこで・・・ 子供の頃、この作品にいかに入り込んでいたのか改めて気がついたのです。
(道徳感・・ 幼い頃は全く気がつかなかったような記憶が・・・)それだけチャーリーに一体化していたんだわ〜、と。何しろ強烈に印象に残っていた場面の一つが、金の紙を手に入れるまでのチャーリーや家族の想いのくだりだったもので。
ついでに〜と他の沢山の方のコメントも拝見しましたが、やっぱりえほんうるふさんの記事が一番共感できました。
そして・・・ とうとう手に入れました! 表紙はもちろん青い方の旧翻訳版!!
ウレシイ(・・涙)!! ちょっと高かったけど。。
こんにちは。コメント頂きとても嬉しいです。
むしろ、あのウィリー・ウォンカだったら、ジョニー・デップじゃないと演じきれなかったかも知れませんね。ほんと適役でした。
ちなみに私が思い描いていた元祖ワンカ氏に近いキャラは、クリストファー・ロイドが演じたバック・トゥ・ザ・フューチャーの"ドク”です。
どーもどーも♪こちらこそご無沙汰しております!
何の予備知識なく観ても充分楽しい映画でしたよね。ただし、バートン節のブラックユーモアが苦手でなければ(笑)
新訳は未読なので具体的なコメントはできないのですが、映画のパンフレットに載っていたエッセイを読む限りでは、柳瀬氏はたいへん自己アピールに長けた方のようなので、翻訳よりも創作活動の方が向いていらっしゃるのではという気がしました。
えほんうるふさんがこの原作に小さな頃から親しんでいらしたというのはなんともうらやましいです。私が読んだのは最近のことですから柳瀬さんの訳の方ですが、皮肉たっぷりのユーモアと溢れんばかりの夢がリズミカルな言葉で綴られていて、おおいに楽しみました。子どもの頃に読んでいたら…と思うと残念です。いつか子どもができたら読ませたいと思いますし、機会があれば田村さんの訳も拝見してみたいと思います。ありがとうございました。(^^)
こんにちは。コメント下さってありがとうございます。
私にとってはこの扉絵こそが「チョコレート工場の秘密」なのです。そしてもちろん挿絵はシンデルマンじゃないと!今出ている新訳版はそんな理由もあって買う予定はないのです。ブレイクの絵も嫌いじゃないのですがこの作品についてはやっぱりイメージが違いすぎる…。
あ、もしよかったらお暇なときにでもこちらにトラックバック送って下さい。よろしくお願いします。
ようこそオトナノトモへ! 遊びに来て下さって、とても嬉しいです♪ こんな素敵な映画評サイトの管理人の方にうちのサイトを気に入ってもらえるなんて光栄です。
「どろぼうがっこう」「おしいれのぼうけん」「ねないこだれだ」3冊とも深読みのしがいのある(笑)素敵な絵本ですね。安野さんの作品でしたら、既に絶版の「あけるな」が一番のお気に入りです。…てな感じで絵本に関してでしたらいくらでも語れる私ですので、どうぞまたお気軽にお立ち寄り下さいね。こちらもリンクさせていただきます♪
オトナノトモへようこそ。コメントまで下さって嬉しいです。
リンクは…やたら率直な紹介の仕方ですみません(笑)
「上質なヘンな人」になることが私の将来の目標だったりします。もともとこの言葉は絵本作家の故長新太さんがおっしゃっていたものなんですが、妙に気に入ってしまって。死んだときに「いい人だった」と言われるより「ヘンな人だった」って言われる方が生きた証が残るかな、なんて思ってます。
いろいろと共感して下さって嬉しい限りです。mayumiさんの鋭い考察をふまえてあの映画を観ると、それはそれでまたオトナの脳みそにシワがひとつ増えるような気がします。
ところで旧訳版、しかも古い表紙の版を入手なさったのですか? それはそれは…がんばりましたね(笑)でも、確かに宝物にする価値がある本だと思いますよ。そのウレシ涙を忘れずに、どうぞ末永く愛読なさって下さい♪
ようこそオトナノトモへ♪ このところいつになくコメント欄が賑わっていて、お返事が遅くなって申し訳ありません。TBもありがとうございました。
私も、ダールの作品に幼少期から触れられたのは幸運だったと思います。でも、かなりブラックユーモア好きのオトナになったのは、そのせいかも…。
>ちなみに私が思い描いていた元祖ワンカ氏に近いキャラは、クリストファー・ロイドが演じたバック・トゥ・ザ・フューチャーの"ドク”です。
ああ、彼ならワンカさんの天才肌な面と共に温かくてユーモラスな感じも出せそうですね!
上手いキャスティングだと思います。
原作は未見なのですが、ブラックユーモアいっぱいのこの作品は、今年の映画の中でも5指にはいる傑作でしょう(まだ年末までだいぶありますが)
原作の良さもあるのでしょうが、コミカルかつブラックな笑い、ため息がでるような美しい世界観、親子の愛情に対する教訓など、いろんな要素を一つに叩き込んで、上質な作品に作り上げたティム・バートンの力量には関心するばかりです。もちろん、ジョニデの存在は大きいですけどね。
まさに、一枚の上等な板チョコのような映画でした。
この映画の原作を読んでみたいと思いつつもまだ読めていないんですよね。
読まなければ!
たくさん絵本を読んでいらっしゃるようで。
絵本は私も大好きです。一度は絵本から離れていましたが何だか大人になるにつれてまた好きになってきたような気がします。
そうなんです。古い表紙じゃなきゃ・・ あの挿絵じゃなきゃ・・・ 意味がなかったんです。
何しろ一度しか見ていないうろ覚えなものですから、こちらで見つけたときは本当に本当に(これだ〜!!)と嬉しかったんですよ。
大事な宝物です。 愛読しますね (*^.^*)
>偏屈王さん、ふたたび
彼ならジョーじいさんでもいけそうですね。いいなぁ、観たいなぁ(笑)
>wellerさん
こちらこそ、コメント&TBありがとうございました。この映画は本当に、バートンの職人芸の世界ですね。かなり好き嫌いが分かれるアクの強さですが、私は大好きです。ジョニー・デップの起用もバートン監督以外に考えられないですもの。
>なななさん
こちらこそお手を煩わせました。原作(旧訳版)の復刊交渉が始まっているようですのでもしお待ちになれるのであれば、旧訳(田村隆一訳)をオススメします。
絵本がお好きでしたら、またどうぞお気軽にお立ち寄り下さい。
>さりさん
旧訳版の復刊交渉が始まっているようですよ。復刊ドットコムの、「原本を貸し出し提供できるか」というアンケートに、どきどきしながらyesと答えました。もう持ってるけど、やっぱり買ってしまうんだろうなぁ。どこの出版社から出るのかな、もはや宣伝不要ですものね。
私もこちらのブログをリンクさせて頂きました。
これからもどうぞ宜しくお願い致します。
遅くなりましたが、まずはお礼まで。
知らない間に、みんなの氣持ちがこんなにふえてる〜っ。
誰かの氣持ちは、また誰かの氣持ちに響くんだなぁ・・・。
えほんうるふさん、しゃべりつかれたら、ぼくといっしょにお茶しようね。(=^^=)
今の季節なら、ミルクよりあったかいお茶がいいなあ。
映画を観て以来、胸の中のもやもやと原作へのひっかかりに対する“発見”を、はきだしたくて仕方が無くて、それを書いてしまったらこちらにうかがおうと思ってたんです。ようやっと、本日参上。(^^A;)
後は、いわゆる“新訳”との読み比べをしたいなぁ・・・原書も読んでみなきゃ。
ナゼゆえか、ちょこれーととは、かくも噛みしめるものの多きものなりき。その旨さのわけを、知りたくなるものなりき。うむむ。
そうなの。私のブログの最多コメント&最多TB記録だわね(笑)。
あったかいお茶、いいね。私と同じアールグレイでいいかしら? イチジク入りのスコーンも焼いておくね♪
>本棚の魔女さん
ちょっと無理をして腰を痛めてしまい、あまり長時間パソコンの前に座っていられないのです。暇さえあれば寝っ転がって次の記事の構想を練っているのですが、チョコレートを寝っ転がったまま食べると喉にけっこう刺激があることを発見しました(笑)。
絵本の方は読んでないので、映画のコメントとして、、とっても面白かった!
親子のトラウマを映画では取り入れた、とのこと。これはバートン監督自身の問題でもあったとか。
チャーリー以外の4人の子供達。
私はバイオレットが若い頃のテニスのプリンセス、マルチナ・ヒンギスに似ている!と思ったよ!TBさせてもらいますね!
大絶賛している者としては、この映画を楽しんでもらえて嬉しいです。学校図書館のボランティアのお母さん達には、表現がどぎついとか子供には見せたくないとかけっこう酷評されていたの(^^;)
たしかにバイオレットはヒンギスを彷彿とさせるところがありますね。本人は冗談じゃない!って思うだろうけど(笑)
ご迷惑でなければいいのですが(汗)
・・・全てを持つ孤独なオトナと、愛しか与えられるもののない
ちっぽけな存在である少年が巡り会う運命の物語・・・
と聞いて、なるほどなぁと感心しました。
最近見た映画で、えほんうるふさん風に言うと、
・・・素晴らしい芸術の才能をもつ孤独なオトナと、
その才能を分け与えてくれる彼を、天使として愛した女性の物語・・・
と、いってもいい作品がありました。
こちらの方は、悲しい結末になってしまいましたが。。。
その作品とは、あの有名な The Phantom of The Opera です。
孤独が天才を生み出すのか?天才だから孤独なのか?
前者がThe Phantom であり、後者がウイリー・ウォンカかもしれませんが、
いずれにしても表裏一体で切り離せないこの二つ。
その才なるゆえに天才には孤独がつきもの。
更には天賦の才という鋭い感覚を持って生まれた故に、
ピュアな心に揺り動かされる彼ら…
この二つの作品を見て、そんなことを強く感じたんです。
えほんうるふさんのおっしゃった 「上質な変人」
私も、そんな人になって見たいひとりです(ほど遠いですけどねー)
過去ログにコメントいただけるのは、迷惑どころかとても嬉しいです。何ヶ月前だろうと何年前だろうと(ってまだ1年経ってないけど)…。
The Phantom of The Operaは、私としたことがまだちゃんと観たことがないんです。今までにも何度か私の好みを知っている友人たちにオススメされていて、「これを観ないで「上質な変人」を語るな!」なんて言われてます(^^;)
ま、お互い目標は高くマイペースに参りましょう♪
原作のある映画はどうしても原作に傾きがちですが、この映画は何度見ても楽しいものでした。
素晴らしく濃い読み比べ解説に感激しました!
私のこの記事を読んでくださった方に是非読んでいただきたい内容なので、こちらからも改めてリンクを張らせていただきますね♪
本当に原作も翻訳版も映画もそれぞれに味わい深くて、興味の尽きない作品ですよね〜。
この映画は「ウォンカとバイオレットが原作とほとんど別人」という点を除けばマジで面白かったです。
>バイオレットはヒンギスを彷彿とさせるところが〜
ああ、アナソフィア・ロブの事ですね。
私は彼女を本作に登用するべきでは無かったと思います。
だって運動神経抜群でスマートな美少女の彼女が、原作小説では無能で無作法で不細工っぽいバイオレット・ボーレガードをやるのは無理ありすぎです。
ようこそオトナノトモへ。
バイオレット役の子役が他にどんな作品に出演しているのか私は知らない(気がついていない?)のですが、個性的なキャラクターを見事に演じていましたね。バートンらしいアクの強さで彩られた映画版においてはなかなかのはまり役だったのではと私は思っています(^^;)
『チョコレート工場の秘密』の新旧訳に関して言えば、私は田村派のほうです。田村さんの訳で育ちましたので、そちらのほうに思い入れはあります。もちろん、柳瀬さんの新訳もすばらしい訳だと思っています。
でも、柳瀬さんのあのあとがきはいまだに引っかかるものがありますよね。「以前の翻訳」を連発していることに対する反発は相当根深いものがあるようです。それは、アマゾンのカスタマーズ・レビューなどでも柳瀬さんのあとがきに対する批判は相当見受けられるのですが、問題はどうもそれだけにはとどまらないように思います。
評論社の折込チラシでは、ロアルド・ダール・コレクションはシリーズの約三分の一を柳瀬尚紀さんが渾身の新訳、と当初なっていました。それがその後はシリーズの半分近くを新訳、と変更されています。この事実から推察できることは、当初は改訳に応じる予定だった人が、それをひっくり返して改訳を拒否した、ということです。「以前の翻訳」「以前の翻訳」と田村さんを揶揄するようなあとがきにはとても耐えられなかったのでしょう。
最近出た中村妙子さん改訳の『オ・ヤサシ巨人BFG』のあとがきはなかなか意味深です。柳瀬さんをたしなめているような印象をうけるあとがきだと思います。田村さんと同年代の中村さんのあとがきは、さすがに懐の深さを感じさせるいい文章ですよ。
はじめまして!コメント頂けてとても嬉しいです。
kmyさんのサイトでのkoiさんとkmyさんのやりとりを改めて読ませていただきましたが、お二人のダール作品&田村作品への造詣の深さが伺える内容で、読みでがありとても面白かったです。
koiさんも「田村さんの訳で育った」とのことですが、まさに私もそういう感覚でおりますので、訳者が誰であれ作品の新訳に違和感を覚えるのは仕方のないことなのでしょう。ただこの作品に関しては、柳瀬訳を初めて読んだときに受けたショックから、自分で思っていた以上に旧訳への思い入れが強かったことを悟りました。
amazonのレビューを読むと、幼少時に旧訳に親しんでいた人とそうでない人とではっきりと評価が分かれますね。ことばの持つ力を思い知らされるようで、とても面白い現象だと私は思っています。
柳瀬訳は正直言って私の好みではありませんが、自分と同じくこの作品に強い思い入れのある人が世の中にたくさんいて、どんな風にこの作品を愛してきたかを知ることが出来たのは柳瀬さんのおかげかなと思ったりもします。
柳瀬氏は訳者としてはたいへん才能のある方なのでしょうが、原作とご自分の仕事に陶酔するあまり、読者が見えなくなっているという印象を受けました。(その印象は後書きを読むと決定的になります(^^;))これほど意欲に溢れているのなら翻訳よりも創作活動に向いているのではと思うほどですが、論議を呼ぶほどに出版界は活性化されますし、むしろこのまま「主張する翻訳家」としてその道を究めていただければと…。
有意義なお話ができてよかったです。どうぞまたお気軽にお越し下さい。