2018年01月19日

ある絵本図書館の話

新年一本目のエントリーとしてはあまりにも残念な内容になるが、久しぶりに腹に据えかねることがあったので、やはり時をおかず記しておこうと思う。

ビットコインには手を出したことがない私だが、ネットを介した投資といえばクラウドファウンディングには何度か出資をしてきた。
いずれも出資者への謝礼内容に惹かれたわけではなく、ましてリターンを期待する投機的な気持ちも毛頭なく、ただ単純に面白そうだったり意義があると思える活動を応援するつもりで純粋に寄付としてやってきたことだ。だから、各事案が後にポシャることはもちろん想定内で、それでも惜しくない程度の微々たる支援しかしてきていない。
ただ、折しもつい最近、私が3年ほど前にそのシステムの存在を知り初めて実際に出資してみた案件が、どうにも残念過ぎる顛末になっていることを人づてに知り、何とも嫌ぁ〜な気持ちになったので、自分への戒めも込めて書き残しておこうと思った。

それは、地域住民の交流の場としてごく小規模な私設の絵本図書館を作りたいという話だった。
私にとっては同じ区内というご近所の縁もあり、もちろんどんな形であれ人々が絵本を楽しむ場が増えるのは大歓迎だし、なにより建物が大正時代に料亭だったという古民家物件でとても素敵な雰囲気だったので、あまりよく調べもせず気軽に応援出資をしてしまったのだった。

現地に行ってみると、建物と環境は確かに噂通りに趣があり素敵だった。蔵書は全て寄贈で賄うとのことだったので、私も一番好きな絵本を一冊持参しメッセージと共に納めた。
ただ、実際に館長を名乗るS氏に話を伺ってみると、ご本人の好きな絵本に対するコメントが妙に浅く、特に絵本というメディアに思い入れがないのがすぐに分かり拍子抜けした。さらに話すほどに、絵本出版についても図書館運営についても私以上に何も知らない素人であることが分かり、語られた今後の運営方針の曖昧さに首を傾げるところも多く、聞けば聞くほど「大丈夫なのー?」という印象が強くなったものだった。

それでも、絵本好きとしてご近所にそれを楽しめるスポットができるのは喜ばしかったし、新しい試みに挑戦するのは悪くないだろうと応援するつもりでいた。
当時の職場が近かったので、何度か様子を見に立ち寄ったが、いつもそれなりに地元の親子連れで賑わっていて、放課後の時間帯には小学生達もいたりご近所のお年寄りも顔を出したりして、当初のコンセプト通り地域の異世代交流の場として機能しているようだった。

だが、それからほどなくして折り入って相談があると代表者に呼ばれて行ってみると、絵本や図書館の話ではなく、区議選に出馬するので「えほんうるふ」として公的に(?)応援してもらえないか、という話をいきなり切り出され、ポカーンとしてしまった。
ハァ?である。開館から日も浅く運営も未だ中途半端なのに何を言ってるんだろう?
もちろん、はっきりお断りした。冗談じゃない。
私が出資した僅かな費用や寄贈した絵本はそのまま地元の皆さんの交流に役立ててもらえればそれでいいと思い、それ以来一切の交流を絶ち、現地に足を向けることもなくなった。

ところがつい先日、友人が久しぶりに問い合わせをしようとしたところ、サイトは閉鎖されていて絵本図書館だったはずの古民家はレンタルスタジオとして営業していることが判明。
不審に思った友人がクラウドファウンディングの運営会社を経由し連絡をとると、ほどなく代表のS氏から直接電話が来たそうだが・・・なんと、号泣しつつひたすら己の至らなさを詫びるばかりという唖然とするような内容だったという。
地元無視の区議選出馬で地元民にそっぽを向かれ、図書館は閉鎖、私や友人達が寄贈した絵本も知人に配るなどして勝手に処分していたそうで、あまりの杜撰さ幼稚さ無責任さに怒る以前に呆れてしまった。

どんなに綿密に計画を立て誠実に運営したところで、新規事業がポシャることはいくらでもある。それはもちろん想定内なので別にいい。ただダメならダメで、関わった人々、協力してくれた人々に詫びを入れるなり最低限の筋を通すのが社会人として当然のケツの拭い方、もとい、責任のとり方ではないだろうか。
何より、私がどうにも許しがたいのは、この絵本図書館が全ての蔵書を善意の人々からの寄贈で賄っていたこと、しかも「不要な絵本ではなく、思い入れのある『大切な絵本』を寄贈して下さい」と呼びかけていたことだ。
そうしてタダで集めた大切な絵本たちを、寄贈者に無断で無責任に処分していたとは!
活動の主旨に賛同しその呼びかけどおりに思い入れのある絵本を寄贈した人たちの思いを何だと思っているのか。あまりに酷すぎる所業である。
どれほど状況が追い詰められていたとしても、せめて、HPなりSNSなりで告知して、絵本の寄贈者に「大切な絵本」の返却を申し出ることぐらいできただろう。
100歩譲って悪気がなかったとしても、責任能力があるはずの大人が人として最低限のことが出来ないほど愚かであることは、悪意をもった犯罪者と同様に人を傷つけかねないということを思い知らされた。

かくいう私も相手を良く知らないままに賛同し出資し、安直にSNSで紹介もしてしまったことを猛省している。私のRT等を見てこの企画を知り、賛助してしまった人がいたとしたら、本当に申し訳なく思う。この場を借りてお詫び致します。

私が寄贈した「やっぱりおおかみ」は今どこにあるのだろう。まさかウチの近所のブックオフにあったりして。せめて、どこかの絵本好きのお宅の蔵書となっていることを願うばかりだ。
確か、かの図書館の蔵書印と共に寄贈者として「えほんうるふ」の名前もどこかに入っていたと思うので、見かけた方は是非ご一報下さいませ。
せめてそんな奇縁に繋がれば、痛い勉強をしたエピソードの救いになりましょう。
posted by えほんうるふ at 22:15 | Comment(2) | 日々のつぶやき | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
そんなことがあったとは…
振り返ると、私がえほんうるふさんにくっついてかの図書館を訪れたときにはもうすでに怪しい雲が漂い始めていた頃と思われますが、あの絵本たちがそんな末路をたどっていたとは…
悔しですね…
Posted by あるちゃ at 2018年01月21日 17:19
>あるちゃさん

わざわざこちらへコメント頂きありがとうございます。
そうでした!最寄り駅で待ち合わせてご一緒しましたよね〜
懐かしいですが、残念なその後になってしまいました・・
また楽しい思い出を作りましょうね。
Posted by えほんうるふ at 2018年01月22日 08:47
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