2017年09月28日

絵本ジャケ買いのススメ

うきわねこうきわねこ
蜂飼 耳 牧野 千穂

ブロンズ新社 2011-07-01

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私の友人・知人には絵本や書籍に詳しいというか、それに関する仕事に就いている所謂プロの方が少なからずいて、彼らの専門知識や造詣たるや、私なんぞ足元にも及ばない。
お仕事なので当然といえば当然かもしれないが、彼らはそれぞれそのキャリアに基づく絵本に対する価値基準をしっかり持っていて、作品としての絵本の良し悪しをきちんとした論拠を元に語ってくれる。その度に無知な私は学ばせてもらうばかりで、友人に恵まれていることをしみじみありがたく思うのだった。

ちなみに私は専門家でもないただの絵本好きなので、例えそれが参加者の多いイベントだろうと、多くの識者が見ている可能性があろうと、常に選書は堂々と「私個人の好き嫌い」が基準である。
ところが面白いことに、単純に好き嫌いだけで選んでいるだけなのに、その私が一読してうわ、ダメだこりゃと思う絵本はやはりプロの目から見ても残念なシロモノだったりするらしい。
さらに面白いというか謎なのは、そんなふうに私の周囲では素人の私とプロの友人たちの価値観が期せずして一致することが多いのに、それがいわゆる世間の価値観とは必ずしも一致しないということだ。
早い話が、私と私の周囲ではほぼ満場一致でOUTな絵本が何故か巷では話題になっていたりする。

これは一体どういうことなのだろうか。
私はSNSやリアルのおつきあいを通じて、おそらく同性同年代の平均的な人よりもかなり多くの絵本好き・絵本愛好家・絵本関連のプロフェッショナルと交流があると思うのだが、にも関わらず、そのうちの誰かがその巷で話題のバカ売れ(ということになってる)絵本を絶賛しているのを未だかつて見聞きしたことがないのだ。
私が絵本好きだと思っている皆さんと世間一般の絵本購入層とはよほど乖離があるのだろうか。
つまり、絵本を買う人が絵本好きとは限らないということか。
あるいは、絵本好きが買う絵本と、圧倒的に数が多いその他大勢が買う絵本は一致しないということだろうか。

そもそも私は絵本に関して売上げランキングのようなものには全く興味がない。大抵、自分の好みや価値観には全く沿わない作品ばかりが並んでいるからだ。
つまり絵本だったら欲しいものは自分で選べるから、見知らぬ大勢のオススメは必要ない。
でも、自分が良くわからない分野のモノ、例えば子どもに頼まれた文房具とか壊れた家電等をあまり時間をかけずに購入する必要がある場合は、私もやはり手っ取り早くランキングを頼ることがある。
ということはやはり、あの売り上げランキングというものを左右する大多数の人々は、そのジャンルの商品に普段詳しくもなく、特段のこだわりや思い入れを持たず、そして時間の無い人なのだろうと想像する。
なるほどそれならば、ランキングに並ぶ絵本と私と私の親しい人々との評価が一致しないのも至極当然である。

絵本に限らず、かように物を選択する根拠を他人の評価に頼っている限り、いつまでたっても自分自身の意志や選択に自信が持てない→マジョリティの意見に依存する→ますますオリジナルの価値観が鈍る→マスコミに容易に操作される付和雷同型人間に成り下がる・・・というのは極端だが、笑えない現実でもある。
ただでさえ日本人は同調圧力に弱い民族だ。(私の周囲に限って言えば全くそうでもないが)
皆と同じ意見なら安心だ。皆が良いと言ってるものなら良いはずだ・・・
その盲信は、自分の頭で考えることを放棄していることにほかならない。
まして、メディアがとりあげて絶賛すれば、イコール「世間の総意」だろうと判断するなんて、幼い子供が親に何かをねだる時の根拠にする「クラスの『みんな』が持ってる」というのと同じぐらいバカバカしいことだ。
そんな調子で、絵本一冊自分で選べないなんて、大人としてあまりにも情けないではないか。

いや、だったらむしろ、絵本選びから始めてみればいいじゃないか、と思う。
今日から一人でこっそり出来るささやかなオリジナル選択眼研鑽法として、こんなにとっつきやすいものはないだろう。
時に長編小説にも負けない深い味わいを持ちながら、一冊を丸ごと読むのにたいして時間もかからないから、忙しい現代人にもピッタリだ。そして絵本だったら、例え周囲の誰にも賛同されなくても「でも私はこれが好き!」と主張しやすいような気がする。気の弱いアナタにもぴったりだ。

そこで手始めに私がオススメしたい絵本選びの方法はズバリ、「ジャケ買い」である。
敢えて中身を読まず、もちろんレビューも読まず、表紙だけを見て直感で選んでみるのだ。
ここで大事なことは、ネットで書影を見るのではなく、書店なり図書館なりで実際に手にとってみて、生のその作品の佇まいごと味わって判断することだ。
そこで一目惚れするような表紙なら、まず間違いない。絵の持つ力とタイトルというごく短い文章だけで、その作品は既に明らかな存在感を放つ実力を持っているからだ。
何となく手には取ってみたけど、今ひとつ決定力に欠けるような・・・そんな時にはこう考えてみよう。
「自分はその表紙の原画を見たいと思うか否か?」
私の経験上、この観点でのYes/Noは絵本の判断基準としてかなり有効である。

あああ、絵本のレビューブログのはずなのに、またしてもとんでもなく枕が長くなってしまった。
つまり今日紹介する「うきわねこ」は、私自身がここ数年にやってみた「完全なるジャケ買い」の中でも群を抜いて大当たりだった作品のひとつなのだ。
正直なところ、絵本としては特に斬新な内容ではないと思う。でも、絵はもちろん、ストーリー展開、登場人物のキャラ設定、言葉選び、装丁・・・絵本たるものこうでなくちゃ、と私が勝手に思う外せない要素をきっちりクリアしていて、久々のジャケ買い大成功の喜びも含めて、初めて読み終わった時の新鮮な満足感がなんともうれしかったのを覚えている。


さらに全然話は違うが、このところ私は基礎代謝量の低下をひしひしと感じている。
要は加齢と共に身体が重くなり、余計なものを身につけやすく落としにくい体質にじわじわと変化をしているのを日々実感しているのだ。
たかが四十半ばでこんなことでは先が思いやられる。更年期目前、いや多分片足突っ込んでいるとはいえ、私はまだまだ自分の意志で身体を動かせるしなやかな人間でいたいのだ。
そう思って近頃始めたのが週3回のスロトレである。日頃の運動不足で衰えた私でも無理なく始められて、ちゃんと習慣化すれば間違いなく今後の健康維持と基礎代謝向上に効くはずだ。がんばろう。

それと同じく、感性だって中高年こそ筋トレが必要で、使わなければどんどん衰える一方なのではないだろうか。
失敗を恐れてネットのクチコミやランキングに頼ってばかりで、自分の手足や五感を使った試行錯誤から学んで自分の意思決定のコアとなる感性を鍛える努力をサボっていたら、いずれ自分の頭でものを考えられなくなってしまう。
というわけで親愛なる大人の皆さん、心と感性の筋トレに、絵本のジャケ買いチャレンジを是非お試しください。

posted by えほんうるふ at 02:07 | Comment(0) | 嬉しくなる絵本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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