2016年07月26日

権利の持ち腐れ

みんなの世界 (岩波の子どもの本)みんなの世界 (岩波の子どもの本)
マンロー・リーフ

岩波書店 1982-01

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

まさか、我が家の朝夕の食卓でこれほど「政治」が話題に登ろうとは。

昨年6月、改正公職選挙法が成立し、
選挙権年齢が20歳以上から18歳以上に引き下げられた。
先日行われた参議院議員選挙はこの新法が初適用され、
18,19歳の約240万人が新たな有権者として現れたことになる。
奇しくも我が家には、まさにその当事者たる今年18になる子がいるため、
思い切り身近なニュースという実感があるのだ。

果たして、参院選から一夜明けて総務省から公表されたその
「新たなる層」の投票率は、18歳51%、19歳39%と、
あれほど世間が大騒ぎしていた割に二人に一人は棄権という
残念な結果であった。

非力な一市民とはいえ、確かに国政に参加している実感が持てる
めったにない機会なのに、しかも今回それに初参加できるなんて
それだけで歴史に参加できるという面白い経験だろうに、
なぜ放棄してしまうのだろうと素朴に不思議に思った。
何も面倒なことはない、投票所に行って紙切れに数文字書くだけだ。
ネットを覗いて大事件のスレッドに記念カキコする程度の行動力で、
それよりずっと意義のある祭りに参加できるというのに。


その場の空気を読むことが何より大事な社会に育った私達は
とにかく表立っての自己主張が苦手だ。
まして私の知る限り、この国の事勿れ社交術の基本は常に
「不特定多数の人前での政治と宗教の話はタブー」であったし、
それは今も、年代を問わず人付き合いの不文律として
脈々と受け継がれているように思う。

それらを堂々と主張できる人々は、強い人々なのだ。
叩かれようと避けられようと、それを上回る信念で動けるのだ。
でもほとんどの人はそこまで強いメンタルは持っていない。
変に主張して強い人々に目を付けられるのが怖い。
圧倒的多数のモノ言わぬ弱い人々の間にいて、
目立って叩かれたり笑われたりするのも怖いのだ。

そりゃ私だって慣れないことをするのは怖い。
こんな辺鄙な匿名ブログですら政治の話をするなんて、ビクビクものだ。
でも、本当に怖いのはそんなことじゃない。
怖がりの大人だからこそ、無知な子ども達に教えなくてはいけない。

彼らは気づいているだろうか。
与えられた権利を行使しないということは、
その全権を他人に委ねるという意思表示をしていることになることを。
良し悪しにかかわらず現状を肯定していることになることを。
未来がどうなろうと文句が言えない立場に自分を追い込んでいることを。
君たちが大好きな「自分探し」やら「自分らしく生きる」こととは、
真逆の道を進んでしまうということを・・・。


おっと、また全く絵本に関係のない話を書き連ねたようだが、
それでも今日ここで紹介する絵本は、まさにこのテーマの重要さを
幼い子どもにも噛み砕いて説く一冊だと私は思っている。

さらに痛烈なのは巻末に続く「困った人図鑑」である。
これらの頁を子どもたちに読み聞かせる時、
なんとなく後ろめたい気持ちになる人もいるかもしれない。
少なくとも、私はそんな情けない大人の一人だ。

初版は1953年に発行された古い古い作品ということもあり、
世の中の現状を鑑みると必ずしも全面的に賛成できる内容ではないが、
小さな子どもと政治の話なんて出来るわけがないとお思いの方には、
きっかけになる一冊として大いにお勧めしたい絵本である。

posted by えほんうるふ at 16:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | 大事なことを教わる絵本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック