2016年01月26日

華麗なるフェイク人生

きちょうめんななまけものきちょうめんななまけもの
ねじめ 正一・文  村上 康成・絵

教育画劇 2008-05

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勤勉を装う怠け者は世の中にあまねく存在するもので、
根が無精なだけに詰めが甘いので、たやすくその本性を見破られる。
バレてないと思っているのは本人だけ、というおめでたさは、
まさに脳天気なナマケモノに相応しい生態かもしれない。

その逆に、怠け者を装った努力家というものも、実は結構いるらしい。
学生時代、テスト前でも妙に涼しい顔でぶらぶら出歩いていたり
学校行事での大役等、普通なら緊張を強いられるような場面でも
ひとり飄々としていて、そのくせ何でもそつなくこなしてしまう人が
あなたの周りにも一人や二人いなかっただろうか。
もちろん、その中には努力不要の真の天才も居たかもしれないが、
実際には人に見えないところで努力を重ねてその状態を維持している
隠れ秀才タイプが少なくなかったのではないかと思う。

そんな人々は、何故わざわざ怠惰を装うのだろうか?
ごく当たり前に勤勉さは人から賞賛されることなのだから、
素直に努力する様を見せればいいものを、
どうしてわざわざそれを隠すのか。

私の推測では、多分彼らはもともと怠惰な人間が安易に思いつくような
低次元なレベルとはかけ離れた高貴なプライドを持っているのだろう。
それはつまり、自分自身に対する美意識の問題なのではないか。
優雅に湖面を進む白鳥が水面下ではせっせと水をかいているように、
髪振り乱して必死にあがく醜い自分は自分が見たくない。
まして他人には決して見せたくない。
そこで、自分が理想とする自分のイメージを全力で保つべく、
こっそり人知れず努力をするのだ。

今日の絵本はそんな愛おしくもややこしい性格のナマケモノが主人公だ。
生真面目な彼は、昼間は人間たちの勝手な期待に応えて、
不本意ながらも怠惰で安穏としたキャラクターを演じている。
が、日が暮れて人目から開放される夜になると、様子は一変。
一分たりとも無駄にせず、勤勉かつ几帳面に朝までの時間を全うするのだ。

そもそも彼が何より嫌悪するのは「怠け者と思われること」だという。
ああそれなのに、何故か彼はナマケモノとして生まれてしまった。
生来の性質と真逆なキャラクターを期待される一生だなんて、
ほとんど性同一性障害に近い苦しみを背負っているかもしれない彼だが、
どうやら元々の能力が高いと見えて、そんな二重生活を破綻なく
それなりに楽しそうに全うしている姿がなんとも頼もしい。


ところで私自身は取り繕いようのない見た目通りの怠け者である。
と、自分では思っているのだが、
どういうわけか常時全力疾走の頑張り屋のように思われてしまいがちだ。
いったいどうしてそんな誤解をされてしまうのか常々疑問だったので、
自分なりに我が身の基本的な行動パターンからその理由を考えてみた。

いい歳して好奇心旺盛なのでやりたいことだけは山程ある
       ↓
時間貧乏性なのでのんびりするのが苦手で、
とにかく何かしていないと落ち着かず、常に手は動かしている
       ↓
そのくせ腰が重いので一つの作業に本気でとりかかるのが遅い
       ↓
そのくせ一度とりかかると無駄に完璧主義なので時間がかかる
       ↓
結局なんでも締め切りギリギリに全力ダッシュで間に合わせる


嗚呼、四十半ばにもなって、我ながら実に大人げない日常である(呆)

それはともかく、この行動パターンから類推するに、
恐らく私を勝手にポジティブに誤解してくださる皆さんの目には、
もしや上記の過程がこんな風に見えているのではなかろうか。


いくつになっても好奇心旺盛でいろんなことに意欲的。素敵!
       ↓
寸暇を惜しんで常に新しいことに取り組んでいる。感心!
       ↓
活動内容が多岐にわたる為、優先順位差が激しい。当然!
       ↓
しかもそれぞれ手を抜かないので時間がかかる。やむなし!
       ↓
多忙にも関わらずなんでも精一杯頑張っている。偉い!


もし私について本当にこんなに都合の良い誤解がなされているとしたら、
誠に申し訳なくもたいへんにありがたいことで、
この場を借りて皆様にお詫びとお礼を申し上げたいぐらいである。
(当然、私の本性を見抜いている賢い人もたくさんいるでしょうが・・)

というわけで本日の結論は、
「人は見かけによらず、愛は常に好意に基づく誤解の上に成り立つ。」
ということにしておこう。

posted by えほんうるふ at 07:56 | Comment(0) | TrackBack(0) | 目からウロコが落ちる絵本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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