2015年12月17日

その喜びを全ての子どもに

ちいさな ろば (こどものとも傑作集)ちいさな ろば (こどものとも傑作集)
ルース エインズワース 酒井 信義

福音館書店 2002-11-15
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私は玩具屋に勤務しているので、毎年この時期は忙しい。
訪れるお客様の多くがプレゼント用のラッピングや配送を希望され、
細かい作業に追われるうちに一日があっという間に過ぎる。
とはいえ、それはせいぜい何十人分かの子供へのプレゼントにすぎない。
それを思うと、毎年、世界中の何億という子ども達にもれなく
指定の日時にプレゼントを届けるという離れ業をやってのける
サンタクロースという人物の偉大さに恐れ入るばかりである。

子どもといえば、動物たちにも等しく子ども時代があるはずだ。
今日の絵本は、クリスマスのことを人間に聞かされて
「自分もプレゼントをもらえたらいいのに」
と素朴に思った小さなろばの子のささやかな願いが
サンタさんとの出会いと共に叶うという、可愛らしいお話だ。

イブの日の朝、子ども達にクリスマスのことを聞かされ、
小さなろばは、自分も何かプレゼントがもらえないかと夢想する。
その日の夜、足を痛めてしまったトナカイを休ませようと
偶然ろばの子のもとに降り立ったサンタ・クロースに請われ、
ろばの子は一晩を代理トナカイとして立派に務め上げる。
そして翌朝、ろばの子が一番欲しかったプレゼントが届くのだ。

とかくキラキラしたクリスマスの装飾の中にあると
赤一色に線画が描いてあるだけの表紙は、ひたすら地味に見える。
でもどうしてどうして、素直で無邪気で一生懸命なろばの子の姿は
他に類を見ない愛らしさで、ロバフェチの私でなくとも
きっと大好きになるクリスマスの名作である。


ところで、我が家の子ども達のところへはサンタクロースはもう来ない。
何故なら、彼らはもう10歳を超えてしまったからだ。

子ども達がもっと幼い頃は、もちろんサンタさんは来てくれていた。
クリスマスの朝には、子供たちそれぞれの枕元や、
部屋のドアノブにかけた靴下に、
まさしくサンタさんからのプレゼントが届いていたものだ。
さらに、居間に飾ったクリスマスツリーの下には、
両親や祖父母や伯父などからのプレゼントがずらりと並び、
子供たちは待ちきれない様子で早起きしてきて、
たくさんのプレゼントを片端から開けては歓声を上げていた。

そのクリスマスの朝の光景は今も変わらない。違うのは、
サンタクロースからのささやかなサプライズプレゼントはもうない、
というだけのことだ。
なぜ無いのかと言うと、親の私がそれを辞退したからである。

我が家では、子ども達がそれぞれ小学校に上がる頃から、
サンタからの贈り物について、このように説明してきた。

サンタクロースはあれほど高齢なのに、
世界中の子ども達に一晩でくまなくプレゼントを届けるという
重責を担っているので、どれほど老体に無理を重ねていることだろう。
まして、毎年新しく生まれる子ども達の分もあるから、
サンタさんの仕事は増すばかりである。
そこで、せめて少しでもサンタさんのお仕事を軽減するべく、
我が家の子供達への直接のプレゼントは、10歳まででいいですと
サンタさんに申し出ることにした。
つまり、サンタクロースからのプレゼントの受け取りは
それぞれの子が10歳になる年までとし、
それ以降は気持ちだけありがたく頂いて辞退することにしたのだ。
でも、サンタさん側としてはそれでは可哀想だというので、
11歳以降はサンタさんの分まで親が請け負うと伝えてあるので
君たちもそれでよしとしてほしい。

・・・という話を、
私はふたりの子のその歳なりの理解度に合わせて
言葉を変えて繰り返し伝えてきたのだった。
子ども達の方は、毎年聞かされるうちになんとなく
そういうものだと理解したのか、或いは空気を読んだのか、
それぞれ10歳になる年には
「ああ・・サンタさんからは今年が最後かぁ・・」と
ぼやきつつも文句も言わず、その後もそれなりに
クリスマスの朝を楽しみにしているようだ。
もちろん、サンタからの業務委託を受けた者として
親がその分頑張っているからでもあるのだが。

世界中の、ひとの子も、ろばの子も、その他の生き物も、
クリスマスを知る全ての子ども達が、
輝く笑顔でその日の朝を迎えられますように。

posted by えほんうるふ at 07:31 | Comment(2) | TrackBack(0) | 嬉しくなる絵本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「我が家の子供達への直接のプレゼントは、10歳まででいいですと
サンタさんに申し出ることにした。」
というのは素晴らしい
Posted by はやし at 2016年02月07日 03:21
>はやしさん

コメントありがとうございます。
子供もそれなりに納得し、親も要らぬ罪悪感から無縁となり、なかなかよい説明だと我ながら思います^^
Posted by えほんうるふ at 2016年02月07日 08:34
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