2015年06月23日

やっぱりロバが好き

わたしのろば ベンジャミンわたしのろば ベンジャミン
ハンス・リマー 文
レナート・オスベック 写真
松岡享子 訳
こぐま社 1994-07

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使っているアイコンとニックネームのせいか、
私の好きな動物と言えば、もちろん狼だろうと想定されることが多い。
それは確かに間違いではないのだが、
実は私には狼と並んで偏愛する動物がいくつかいて、
そのひとつが、ロバなのである。

彼らは馬ほど美しくはない。
むしろ不格好で不器用で、古今東西の童話や物語においても
残念なルックスや愚鈍なキャラの代名詞のような扱われ方。
けれどその瞳はどこまでも澄んでいて美しく、
気はやさしくて力持ち、そして焦れったいほどのお人好し。
さらに彼らを人に例えるなら、
普段は無口で目立たず裏方に徹しているようで、
表立った自己主張やスタンドプレイはせずとも、
ただその存在感だけで周囲を安心させてくれるような人。
雨ニモマケズ 風ニモマケズ 雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ 慾ハナク 決シテ瞋ラズ
イツモシヅカニワラッテヰル
・・と、まさに、
かの有名な宮沢賢治の詩に表された人物像そのものである。
とにかく、たとえ周囲からバカにされようと
いつも変わらず振り向けばそこにいてくれる、
実は誰よりも信頼できる人物、のように思える。

もちろん絵本の中にも、そんなイメージのままに描かれた
愛おしく頼もしいロバたちがたくさんいる。
今日はその中で、私の一番お気に入りのロバの話をしよう。

「わたしのろば ベンジャミン」
そのタイトル通り、この絵本の主人公の幼いスージーには
いつもやさしく彼女に寄り添うロバ、ベンジャミンがいる。

ベンジャミンは何をするわけでもない。
ものも言わず、家畜としての使役もせず、
ただただいつも、スージーのそばにいるだけだ。
ベンがスージーに寄り添うその姿は常に奥ゆかしく、
潤んだ大きな瞳はいつも伏し目がちで、
それでもいつもやさしい光をたたえている。
そしていつもさりげなく、スージーに寄り添っている。

小さなスージーはそんなベンが大好きで、
全幅の信頼と共に無邪気に甘え、好き放題をする毎日。
その様子はまさに(ちょっとあざといほどの)
天真爛漫さに満ちていて、たいへんに微笑ましい。
一方、物言わぬベンジャミンは、無邪気なスージーが
あれやこれやと構ってきても為すがままになっている。
そして、大人の目には見るからにロバにとっては
ありがた迷惑だろうと思えるような所業でも、
不思議とベンジャミンは迷惑がっているようでも、
耐え忍んでいる様子でもなく、
むしろそれこそが彼の喜びであるかのように、
120%の慈愛でもって受け入れているように見える。

こうしてスージーとベンジャミンは、表現は真逆でも
お互いを思う気持ちをまっすぐに相手に捧げているのだ。
要するにこの二人はラブラブなんである。

それでも、どんなに心広いベンジャミンでも、
時には一人になりたい時がある。
そして、唐突にその日は訪れる。
「まったくもう、やってらんねーぜ!」とばかり、
ふらっとスージーの元を離れるベンジャミン。
もちろんスージーは大パニックだ。
必死で愛するベンジャミンを追いかけ追いつき、
しおらしく彼に一緒にいたいと懇願してみせる。
快諾しつつも、ちょっと強気に自分の我を通すベン。
立場が逆転したように、黙って彼についていくスージー。
こうなるともう、この作品ならではの
地中海に浮かぶロードス島の美しい背景もあいまって、
まるで古いイタリアの恋愛映画を見せられているようで、
私の枯れかけた乙女心がキュンキュンしちゃうのである。
とはいえこれはやはり絵本なので、映画のように
主人公がひと夏の恋でちょっと大人になる・・・
なーんてわけもなく、甘えん坊のスージーは
そのまま甘えん坊のまま、微笑ましくハッピーエンドを迎える。

まーそれでも、よいではないかよいではないか。
だってロバだもの!とにかく可愛いんだもの!!
カワイイは正義だ!とここで思わず私のロバ偏愛の血が騒ぐ。

だがしかし、ご想像の通り私のロバ愛にはそれなりに拘りがあり、
ロバが出ていりゃーなんでもいい、というわけではない。
私が思うロバの愛らしさがしっかり表現されていなければ、
たとえロバが主人公であろうと私の食指は動かない。

ちなみにベンジャミンは、人間の幼児のスージーに比べたら
ずいぶんと大きな身体だけれども、まだ子どものロバだ。
モノクロームの写真から見えるベンジャミンの佇まいは
やはり幼くて、なんとも愛くるしい。
私は年老いたロバの哀愁漂う姿にも目がないのだが、
子どものロバの可愛さときたら異常である。
しかもベンジャミンは写真で出てくる。反則である。

さて、そんな偏屈ロバ愛の持ち主である私がオススメする
世界の三大ロバ絵本といえば、今日ご紹介したこの「わたしのろば ベンジャミン」の他に、
・フランソワーズの「ロバの子シュシュ」
・バーバラ・クーニーの「ロバのおうじ」
の二冊を挙げておこう。とにかくロバ好きにはたまらない作品である。

というわけでもしこれを読んだ同好の士で
私に薦めたいロバ絵本をご存じの方がいらしたら
是非とも教えていただきたく、よろしくお願い致します。
posted by えほんうるふ at 18:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | うっとりする絵本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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