2014年08月27日

天性のジゴロ

How Tom Beat Captain Najork and His Hired Sportsmen (Captain Najork 1)How Tom Beat Captain Najork and His Hired Sportsmen
Russell Hoban Quentin Blake

Walker Books Ltd 2014-04-03

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残念ながらこの絵本の日本語版は現在のところ絶版のようです。
「さすがのナジョーク船長もトムには手も足もでなかったこと」
(ラッセル・ホーバン文 クェンティン・ブレイク絵)
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「ただしイケメンに限る」というフレーズが如実に表すように、
外見さえ良ければあらゆるハンデは免除されると思われ勝ちな昨今だが、
実際には、判定者がよほどのお馬鹿さんでない限り、
ルックスだけで中身がまるでイケていない人間を「イケメン」と称するほど、
女性の目は甘くないのが普通である。

その一方で、女性は惚れた男に甘い。アホみたいに甘い。
ダメンズに尽くして身を持ち崩す女はもとより、そこまでいかずとも、
男の身勝手さに振り回されつつ、惚れた弱みでそれを許し
母親のように世話を焼いて甘やかす女は多い。
そしてその愛情度合いに於いて、いわゆる世間一般の相対評価における
ルックスはまるで関係ない。

それどころか、取り立てて外見的にアドバンテージも無い上に、
ひたすら好き勝手に生きているフリーダム野郎にしか見えないのに、
どういうわけか女が寄って来て切れない、という男がいる。
いわゆるジゴロタイプのその男はなぜ愛されるのか?
それはひとえにその男のルックスも生き様もひっくるめた存在そのものが
その女の心を溶かす「愛しのイケメン」だからに他ならない。

では、そんな女を惑わすフリーダムなイケメンとはいったいどのような男なのか?
なんと、その一例を分かり易く図解してくれている絵本があるのだ。

今回とりあげる、このやたらとタイトルの長い絵本、
「さすがのナジョーク船長もトムには手も足もでなかったこと」
の主人公トムは、清々しいほど好き勝手に生きている少年である。
彼の面倒を見ているトンカチーン・トテモジャナイおばさんは
その名の通り草木も枯れるほどの超堅物人間。にも関わらず、
トムは平然とおばさんの大嫌いな「ばかばかしいこと」に精を出し、
自由気ままに毎日を過ごしている。
そんな彼を見かねたトンカチーンおばさんは、トムの性根を叩き直すべく、
ナジョーク船長とその部下のナンデモ水夫の一行を呼び寄せる。
ところが、話はトンカチーンおばさんの思惑を大きく外れ、
思いがけない展開に・・・・

という楽しいお話である。
そしてこのトムこそがまさに、私の思うところの
女性の心を鷲掴みにするフリーダム・イケメン野郎なのだ。
ちなみに私独自の分析による、トムのイケメンっぷりはこんなところだ。

1. 好き勝手やってるだけなのに、何故か大人に負けない超人ぶり。  
  
  これはもう、この絵本の一番の見所である、トムとナジョーク船長との
  謎競技での攻防戦を見てもらえば一目瞭然である。
  なんだかんだ言って女子の多くは恐らく本能的に身体能力の高い男子、
  なおかつ権威に屈しない自由人に惹かれるものだ。

2.好き勝手やってるようで、決して無駄に女に逆らわないスマートさ。

  こう見えてトムは、トンカチーンおばさんに決して逆らわないのである。
  身の毛のよだつような食事を食べるように言われても、
  退屈な勉強を言いつけられても、
  しまいには恐ろしげな外部講師による調教を宣告されても、
  決まってあっさりと「いいよ。」と答えるのだ。
  食事や勉強については、トムが実はそれらを心底嫌っていたことが
  後に判明するが、その場ではそんな感情をおくびにもださず、
  諍いによる無駄なストレスを避けるかのようにスマートに処理してみせる。
  つまりトムは、そこらの成長しきれていない「少年のような」成人男性より
  実はずっと女の扱いに長けた「大人顔負けの」賢い少年なのである。

3.何も考えてなさそうで、実は女心の機微に敏い繊細さ&狡猾さ

  最後の勝負に先立ち、形勢不利なナジョーク船長にさりげなく合図して、
  トンカチーンおばさんに聞こえないように、とある取引を持ちかけるトム。
  もうね、すごいですトム。ある意味怖いです(笑)
  このシーンの面白さは是非、絵も見て味わって頂きたい!

4.サラリと自分の我を通す、スマートすぎる開き直り。

  めでたくトンカチーンおばさんをお払い箱にしたトムは、なんと自分で
  新聞広告を出し新パトロン、もとい、新おばさんを募るのだ。
  しかも、今まで黙って我慢していた案件は最初からしっかり条件提示し、
  さらりとクリアしてみせる。それでも、
  「てごろなおばさんが、すぐ、みつかった。」そうだ。どういうこと・・?


・・・と、ここまで書いて来て、
推定年齢10才と思しきトムのヤバいほどのジゴロっぷりに震撼する私である。
ちなみにここで、「ジゴロ」の意味を改めてwikiで見てみると・・・

「年上の女性(と付き合い、その女性)から援助を受けている、
あるいはどのように生活を成り立たせているのかはっきりしない、若い男」

とある。
ひょえー。これはまさにトムの生き様そのものではないか。
実はこの絵本、まだ毛も生えぬ(かどうか実は確認していないが)
アホ男子(現在12才)の息子のお気に入りの一冊であるのだが、
もしかしてこれを幼少時から男子に愛読させてしまうのは、
教育的にアレだっただろうか?!

・・・ま、いっか。
折角男に生まれたなら、モテないよりはモテる方が人生面白かろう。
そのヒントをまさか絵本から学べるとは素晴らしいじゃないか。
息子よ、大志を抱け!目指すは自由なイケメンだ!!
ただし女を泣かすなよ!

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posted by えほんうるふ at 18:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | うっとりする絵本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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