2014年05月22日

まちがえるほどに強くなる

教室はまちがうところだ教室はまちがうところだ
蒔田晋治・作 長谷川 知子・絵

子どもの未来社 2004-04

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もう十年も前のことだ。
私の子どもが初めて小学校に上がった時、
周りのお子さん達の出来の良さに驚いたのを覚えている。
ひらがなの読み書きはもちろん、漢字も書けて、
中には英語で流暢に挨拶できるお子さんもいたりした。
小学校に上がる前からお家やお教室でしっかりと準備をしてきたらしい、
そんな優秀なお子さん達にとっては、
公立小一年生の新学期の教室は毎日が晴れ舞台だっただろう。
初めての授業参観を見に行くと、
意気揚々と手を挙げる彼らの間に隠れるように、緊張した面持ちの娘がいて
それでも先生に当てられると小さな声で懸命に答えていて、
なんとか正解であったことにこっちまで胸を撫で下ろしたものだった。

こういう場面で、平然と手を挙げるのは自分に自信のある子ばかりだ。
煩いぐらいにハイハイと手を挙げて自分をアピールし
当てられる前から得意げに正解を口にする子がいるかと思えば、
早くも芸人魂を発揮して、ウケ狙いのボケをかます子もいた。
そうでないその他大勢の子ども達は、一様に俯きがちになり、
ソワソワとしているその姿が何ともいじらしいのだった。

今日の絵本は、そんなその他大勢の愛おしい子どもたちに伝えたい一冊。

教室はまちがうところだ

嗚呼、なんと素晴らしい言葉であろうか。
知らないというのは清々しいことだ。
そこに新しい知識や考えを取り込んでいく作業は、快感であるはずだ。
なのに、どんどん間違ってもいいはずのその学びの場は今や、
子ども達にとって、恐ろしく緊張を強いる場になっている気がする。
出来て当たり前、分かって当たり前の雰囲気の中、
小学校に入学したばかりの一年生もその親も、
はじめの一歩から恥をかくまいと必死になる。
本来学ぶことは楽しいことであるはずなのに、
スタートから出遅れを感じた子は、いきなり出端を挫かれて
学ぶことの新鮮な楽しさや喜びを、見失いはしまいか。
だとしたらそれは、なんともったいないことだろう。

学ぶことに終わりは無く、赤ちゃんも一年生も、
お父さんもお母さんもおじいちゃんもおばあちゃんも、
人は生きている限り常に何かを学び続けるものだろう。
その道は人それぞれで、学び方も千差万別だろうが、
きっと誰もが経験を重ねて実感するであろうことは、
決して間違えないようにと注意して慎重に覚えたことよりも
間違いや勘違いや失敗から、その恥ずかしさや痛みから学んだことの方が
嫌でも身に付くし、結局は自分を成長させる糧となる場合が多い、

ということではないだろうか。
さらに、間違えることの素晴らしさは、
間違えれば間違えるほど、次の失敗が怖くなくなるということだ。
なんとかなる、ということを身を以て経験すること。これは大きい。
まして若い頃の間違いなんて、その後の生き方次第で本当になんとかなるのだ。

少なくとも、自分はそんなことの繰り返しで生きてきて、
気がつけば失敗を失敗と思わぬ厚かましさと
転んでもただでは起きぬ執念深さを身につけた・・ように思う。

間違いから学ぶ方が手っ取り早く、得るものも多いのならば、
遠慮なくじゃんじゃんトライアル&エラーを繰り返せばいいようなものだが、
誰でも大人になり社会に出れば、
その間違いが許されない場面というものに嫌でもぶつかることになる。
当然ながらそのプレッシャーは、新一年生の初めての授業参観の比では無い。
もちろん、そのここぞと言う場面で失敗する人だって山ほどいるし、
またそこから学ぶことのシビアさ大きさも別格だろうが、
じゃあ、間違ってもいいからドーンとやってみよう!というわけにはいかない。
なにしろ、被るダメージが大きすぎる。
その分、回復にかかる時間もお金も莫大すぎる。
残念ながらこの先の伸びしろもあまり期待できない。
なにより、
大抵の大人は、子どもほど強くないのである。

だから、いつの間にやらうんざりするほど大人になってしまった私は
子どもたちに、若い人たちに、声を大にして言いたいのだ。
教室にいるうちに、
間違いが許される今のうちに、
めいっぱい、思いっきり、間違っとけよー!!と。


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posted by えほんうるふ at 08:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | 大事なことを教わる絵本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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