![]() | ぐりとぐら なかがわ りえこ 福音館書店 1967-01 by G-Tools |
前々から欲しいと思っている物の一つに、ダッチオーブンがある。
およそどんな調理にも使え、何でも作れるうえに何でもおいしくできると聞けば、食いしん坊の私の食指が動かぬはずはない。ダッチオーブン愛好家達のたかが鍋への激しい愛着ぶりも、何かと思い込みの激しい私の嗜好にマッチして、日に日に思いは募るばかりである。まして、私の大好きな絵本の世界では、これぞダッチオーブンと思えるような大鍋料理が頻繁に登場し、その威力を見せつけるのである。こうなるともう、鍋が呼んでいるような気がしてならない。
さて、絵本に出てくるおいしそうなものとして多くの人が真っ先に思い出すのがぐりとぐらのカステラである。ふんわりとした黄金色の生地に香ばしい香りが漂ってくるようなきつね色の焼き目がついたカステラは、とにかくおいしそうでオトナもコドモも魅了される。また、この時調理に使われているのが、まさしく黒光りする使い込まれた深型スキレットで、私の長年のダッチオーブンへの憧れはここから始まっている。
ところでこんな見事なカステラを思いつきで作ってしまうぐりとぐらはタダモノではない。私が思うに、彼らは森で有名なアウトドア料理研究家なのではなかろうか。
何しろキノコ狩りの途中でデカイ卵を見つけたからって、卵の所有者のことなど全くお構いなしにいきなり食材扱いである。(私のネット友人の奥様なぞ、「卵を勝手に食べられちゃった おかあさんの気持ちも考えてあげなさいよ!」と本気で心配していた。)卵が持ち帰れぬと分かると、食材の現地調達こそアウトドア料理の醍醐味とばかりに、いそいそと家に帰って特大の鉄鍋を転がしてきて調理に取りかかるとは、用意が良すぎる。ここで、二人所帯のクセになぜそんなバカでかい鍋を常備しているのか?という疑問がわき、さらに妙に手際良くかまどを設えるぐらの様子や、カステラ製作に不可欠な工程である「卵の泡立て」をたった1本の小さな泡立て器でやり遂げるぐりの超絶テクニックを見るにつけ、もはやとても素人とは思えなくなる。
そして、「ぼくらの なまえは・・」といつものテーマソングを歌えば、二人を知るご近所さん達は「お、始まったな」と素早く察知してお相伴に預かろうと集まり始め、みんなで完成を楽しみに待つのだ。
プロらしく作品の完成時の演出も見事だ。ぐらが頃合いよく鍋の蓋を取ると、見事な出来映えのカステラが顔を出す。観客は思わず歓声を上げる。私は思わず弟子入りしたくなる。
やまのこぐちゃんもしげるを洗いに行く途中のおおかみも当たり前のように顔を揃え、皆で楽しくできあがったカステラを食べるシーンは、なんとも和やかなムードで見ているだけでハッピーになれる。もちろん、作った二人も満足げだ。
冒頭の話に戻るが、我が家は週末毎に野山に繰り出してキャンプするような筋金入りのアウトドア派というわけではないので、どことなくアウトドア玄人仕様の雰囲気漂うダッチオーブンを所有するのは宝の持ち腐れになるような気がして今まで購入に至らなかった。料理は大好きだが家事は不得手な私と夫にちゃんとメンテナンスできるのかという不安もあった。
だが、またとない絵になるきっかけを思いつき、ついに購入を決意した。
というのは、実は今日は(正確には昨日だが)私と夫の10回目の結婚記念日なのである。当初予定していた旅行計画は流れてしまったので、何か思い出になることはないかと二人で思案していたのだが、そこでこの鍋の購入というのは我ながらなかなか粋な思いつきだと思う。
10周年の記念に買ったまっさらな鉄鍋が、さらに10年、20年と年月を掛けて憧れのブラックポットに育つさまを想像するのは楽しい。夫婦の絆の象徴と思えば手入れも苦になるまい。
結婚20周年の記念パーティには、この鍋でぐりとぐらのカステラを焼こう。
【この絵本に関するお気に入りあれこれ】
・本棚の魔女の、魔法の本棚/本棚の魔女さんと相棒グッドラックの、読むだけでハッピーになれる「ぐりとぐら」ストーリー
・手当たり次第の本棚/とらさんの、気持ちは分かるが笑えるつぶやき
・絵本でほっとタイム♪/空さんの、正しい母親的反応に一票
・【号外】やまねこ新聞社/山猫編集長の作中の言葉のリズムについての楽しいお話
【よだれが出る絵本の過去ログ】
実は料理大苦手の私も、去年新聞の紹介記事を見て衝動的に鉄のフライパンを注文。量産品でなく1年待ち。今年の夏頃には届くかも?これでパラパラチャーハンを作るのが夢です。←料理下手には贅沢な夢です。おっ!うちもこれが10周年記念品になりそうだ。
ぐりとぐらに話を戻し…お砂糖で甘く煮たどんぐりってどんな味かな?って、ピーナッツの甘煮みたいなものかな? ピーナッツ好きの私としては、ぜひ食べてみたいところです。
この絵本の色彩はお絵かき好きの娘をそそるものがあるらしく、表と裏表紙をめくった余白はクレヨンで塗りたくられています。私も素朴な水彩の雰囲気がとても好きです。
ありがとう!ダッチオーブン、大事に使います。
かめちゃんの鉄のフライパンも楽しみだね。中華鍋みたいなものなのかな?1年待ちってのがすごいね。届いたらぜひ見せてください。
どんぐりといえば、以前韓国食材店での試食でドングリの粉で作ったういろうみたいなものを食べたことがあります。甘くなくて歯応えのあるくるみゆべしみたいな感じでした。
秋にコドモがどんぐりいっぱい拾ってくるとついままごとに夢中になってしまう私。ぐりとぐらの会話ってその楽しみが凝縮されてます。
>パイポさん
本当においしそうなカステラですよね〜。カステラっていうと長崎カステラ的な長方形の物をつい思い浮かべてしまうので、幼心にこの形は結構衝撃的でした。こ、これがカステラ?なんて。
ふつーは、卵焼きとかゆで卵だろう。
なのに、カステラ。
アウトドア料理研究家説、一票を投じます(笑)。
※ TBありがとうございました。
<本棚からしあわせをはこぶ>本棚の魔女さんです。(^^)
「うるふ」といえば、絵本にはかかせない大スターですよね〜。さりげなく、『ぐりとぐら』でもカステラのお相伴にあずかっているではないですか。(笑)
魔女さんも、実はおりょうり大好きです。たぶん、『ぐりとぐら』の薫陶のため・・・!
しかし、本ばかり読んでるもやしっ子の魔女さんは、「たった1本の小さな泡立て器でたまごを泡立てる」どころか、中華なべひとつもちあげられましぇん・・・。
そんな魔女さんがつくった「ぐりとぐらのカステラ」の画像つきの記事を、TBしますね。今度いっしょにお茶しましょうと、グッドラックがいってます♪
コメントを入れるのが遅くなってごめんなさい。
やっと今、手が空いたところです。
えほんうるふさんも結婚10周年ですか!
うちもです〜。
すごい偶然。でも結婚記念日はもう少し後です。
あ〜、夢があっていいなぁ。
20周年のことなんてまるで考えていない私です。
この文章中の奥さんって私のことかな?
それとも他に同じような考えの人がいるのかな?(笑)
でもぐりとぐらの大鍋は私も思いました。
「何で、こんな大きな鍋を持ってるんだ〜」なんて。
子供はちっともそんなこと考えずに聞いてくれるから余計おかしくて・・。(笑)
この絵本は本当にいいですね。
最後はカステラに心奪われる。
まずは“10周年おめでとうございます。”
大きな卵といえば、現実の世界ではダチョウの卵がはやっているようですね。連日売り切れとかいう新聞記事見ました。
ダチョウの卵で作った特大カステラ食べてみたいですね。
一気にいきます。
>とらさん
わざわざご足労頂きまして、貴重な一票をありがとうございます(笑)。
>本棚の魔女さん
そうですね、ぜひご一緒にお茶でもしながらゆっくり絵本談義をさせていただきたいです。グッドラックにどうぞよろしく伝えてください。
>空さん
10周年同士とは、不思議な縁を感じますね。10年間はあっと言う間でしたが、まだまだ先は長いので鍋以上にメンテナンスを頑張らねば(笑)
文中の「友人の奥様」というのはそのままの意味で、セリフもそのままご主人である私の友人の話から引用させてもらっています。でも、あの絵本を読んで「卵の生みの親」を思い遣るやさしい人は世の中に少なからずいるようですよ。(空さんのあとにコメントをつけてくださったpapalionさんもそうです)
>papalionさん
オトナノトモへようこそ!いらっしゃって早々に祝辞をありがとうございます。
ところでダチョウの卵は割るのが大変そうですね。ぐりとぐらみたいに、石で叩いたりするのかしら・・?
うちもうちも2月に10周年でした(笑)
いいなあダッチオーブン 僕も夢
使い込んでいくと味が出るものを
持つって大人の楽しみですよね
僕ら人間も年重ねただけ
味のあるいかした大人になりたいっすね
憧れられるような大人になりたいっすね
あらまそれは素敵な偶然。おめでとうございます。お互いこの先も長く続くであろう「大切な関係」のメンテナンス作業を頑張りましょう。
私が言うのもなんですが、絵本おじさんは、ちゃーんと素敵な歳のとり方をしてると思いますよ。本当の意味での勝ち組じゃないでしょうか。
少なくとも、ここにファンが一人います!
結婚記念日にダッチオーブンは、いいですねぇ。
結婚のお祝いなんかにもいいのかな?覚悟がいりますが...(笑)
是非、お二人の思いのこもったブラックポットに育て上げてください〜。いっぱい卵使って体壊さないように...
そうそう、絵本といえば"Curious George"はかなりお気に入りです。たまたま、英語に通っているとき、いくつも本があってシリーズをいろいろ読みました。絵本って、なんだか思わず微笑んじゃいますよね。
また、ブログを拝見させていただきます。
わざわざお越しいただきありがとうございました。こういう動機ってありなのかな〜と、実際にアウトドアライフを送っている人の感想を聞いてみたかったんです。
結婚のお祝いに贈るには確かに覚悟がいりますね(笑)。あ、でも嫁入り道具に持って行った人は知ってます。何かとエピソードに事欠かないこの鍋には本当に人を惹きつける何かがありますね。
おさるのジョージは我が家でも人気者です。あの天真爛漫さに子どもは共感するようです。
時には絵本でも眺めてほっこりしてくださいね♪
ご結婚、10周年、おめでとうございます。
私は、我が子に絵本を選んでいたときに、表紙の絵に惹かれて、購入しました。
(その当時は、名作だということは、全く知りませんでした。)
子どもは、この本を気に入り、何度も読んでとせがまれましたし、
私も、大好きな本となりました。
ダッチオーブン、私も欲しいものの一つです。
先日、アウトドア用品店に行って、じーっとダッチオーブンを見つめてきました。
えほんうるふさんのblogを読んでいて、
ますます私も、ダッチオーブン欲しい〜!と思いました。
ダッチオーブンで、ぐりとぐらのカステラを焼いたら、きっと幸せな味がするでしょうね!
こんにちは。オトナノトモへようこそ!
この記事を書いて以来、見ず知らずの方々にごく個人的なアニバーサリーを祝っていただけるブログというシステムのありがたさとこっぱずかしさを日々痛感しております。ありがとうございます。
ダッチオーブンはあれもこれも魅力的で、とりあえずサイズとメーカーは決めたものの、まだ型と購入経路で悩んでいます。結婚指輪を選ぶように、今が一番楽しかったりして(笑)。
tumugiさんのブログ拝見しました。これからを楽しみにしています♪
というか、たぶん、そう。
な、ぜ、な、ら! かすてら〜〜〜!かすてら〜〜〜!!
あれほど美味そうに見えるかすてらは世の中にないのだ!
、、、、という単純な理由です。
単純なコメントで申し訳ない(汗
でも子供のころってそんなもんすよね(言い訳
嬉しいです、こちらまで遊びに来てくださって。
そう、ぐりとぐらのかすてらは世界一おいしそうに見えますね。あの焼き色と大きさはちょっとないです。コドモ心ならイチコロでしょう♪
ほんとですね、ぐりもぐらもプロだったんですね!そうかあ、驚きだったなあ@
このサイトは、哲学ブログのenzianさんが紹介してらっしゃったので、おじゃましました★
最近、更新していらっしゃないのでしょうか??
楽しみにしてますので、またよろしくお願いします。
こちらにもコメントいただいてましたね。
とにもかくにも「独創的」な視点からの絵本レビューを目指しておりますので、お楽しみいただければ幸いです。
おっと、enzianさんのところもご無沙汰してます。あとでのぞきに行こうっと。