2013年09月24日

最後の晩餐に食べたいもの

きょうのごはんきょうのごはん
加藤 休ミ

偕成社 2012-09-13

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

誰でも一度は考えたことがあるのではないだろうか。
もし明日、自分が死んでしまうとして、最後の夕食に好きなものを食べられるとしたら、
自分は一体何を食べるのだろうか。

もちろん、最後の願いだから、どんなものでも制限無く美味しく食べられると仮定して。
それでもこういう時、世界の三大珍味なんて選ぶ人はあまりいないだろう。
よほど好物ならともかく、わざわざ最後のチャンスに食べつけないものを食べて、
期待外れだったりしたら、こんな悲惨なことはない。
第一、長旅には履きなれた靴を履いていくのが鉄則と言うではないか。
これから長い長い異境への旅に出るというのに、途中でお腹の具合が悪くなっては困る。
ついこれが最後と舞い上がって食べ過ぎそうなゴージャスなご馳走など以ての外だ。

そこで私も改めて、自分が「最後の晩餐に食べたいもの」を考えてみた。
うん、やはりここは、せめて心の空腹を満たして安心して逝けるよう、
最後の晩餐には100%不安のない、食べ慣れたいつもの味を口にしたい。
従って第一条件は、和食。
それも、寿司や天ぷらやすき焼きといった「ハレ」メニューでなくていい。
何でもない普通の日に当たり前に我が家の夕餉の食卓にのぼる、「ケ」の料理がいい。
つまり、焼き魚だとかひじきの煮物だとか金平牛蒡だとか胡瓜の糠漬けだとか、
炊きたての白いご飯とみそ汁に合う、いつもの我が家のごはんが一番安心だ。

えーっ!最後なのに、そんなんでいいの?
と思ったそこのアナタに、是非読んでいただきたい絵本がある。
加藤休ミさんのきょうのごはんである。
見よ、この表紙の秋刀魚の塩焼きの圧倒的な存在感を!
それだけじゃない、この絵本にはまだまだ凄まじく美味しそうな料理が待ち構えている。
日本人なら誰もが、ページをめくった瞬間に思わずよだれを飲み込む見開きがあるはずだ。

私も最初は、ただただそのシズル感溢れる食べ物の絵の画力に圧倒されるばかりで、
果たしてこの表紙だけでご飯三杯いけるかどうか実験してみたいとさえ思ったものだ。
今でも、空腹時にこの絵本を手に取るのは非常に危険というか、理性が本能に負けて
とにかく目が絵の一点に釘付けになってしまうのでまともに鑑賞ができないのである。

でも、できれば、お腹が空いていない時にでも改めてこの絵本を読んでみてほしい。
誰もが目が吸い寄せられる食べ物の絵からほんの少し視点を広げてみれば、
そこに料理以上においしい空気が描かれているのが分かるだろう。
オシャレでもゴージャスでもなく、いつものように生活感あふれる我が家。
そこで供される、なんでもない日の、なんでもない食事。
でもその食卓には、なんでもない日ならではの、寛いだ家族の笑顔が並んでいる。
唯一、おじいちゃんの長寿祝いだろうか、非日常の「ハレ」の日の食卓も描かれてはいるが、
後で思い返せば、一番失いがたい時間はやはり、なんでもない日常の風景ではないだろうか。

そう思って、この絵本を改めて最初から見返してみる。
こんなふうに家族が揃って食事をともに出来る時間なんて、案外短いのかもしれない。
そんな時間をいつの間にか失って、何年も経ったある日、私は思い出すのだろうか?
最後にもう一度、あの日の空気を味わいたいと・・。

もし、人生最後に好きなものを食べる自由があるならば、
やはり私は、自分が毎日作って家族と共に食べて来たいつもの食卓を再現したい。
それも特別高級食材なんか使わず、いつも通りのそこそこの食材を使って、
いつものように家族それぞれの好物を一品ずつ取り入れて、
「やったー!いただきまーす!!」の声が聞こえる、あの食卓を。

↓お気に召しましたら、クリックで更新励ましの一票を!!↓
人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 絵本・児童書へ にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
posted by えほんうるふ at 09:04 | Comment(2) | TrackBack(0) | よだれが出る絵本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
(大正時代の番頭風に読んでください)
えほんうるふさん、お久しゅうございます。以前ちょこまかお邪魔させていただいたぴぐもんでございます。
私のほうは児童書ブログはほぼ固まった状態になっておりますが、流石えほんうるふさん、地道に更新されておられて感心いたします。
そういえば、えほんうるふさんはツイッターとやらでご活躍されれるよう。私もアカウントというのを取得したにはしたのですが、パスワードというのを忘れてしまい固まってしまいました。いや〜、お恥ずかしい限りです。これを機に再度申請してみようかと思っております。
しかし、時代というものですかね。私もブログよりもFacebookとういものが伝達手段となって久しく、本の書評などはブクログとかいうところに書いております。まあ、お時間がございましたらそちらへもお立ち寄りくださいませ。
では、お体に気をつけて、今後も末長く刺激的な書評を書き続けてくださいませ。
Posted by ぴぐもん at 2013年10月08日 08:23
>ぴぐもんさん

ぴぐもんさん!大変ご無沙汰しております。
また来てくださったなんて、とても嬉しいです〜!

なんだかんだで細々と続けておりますが、今はツイッターでのやりとりが増え、ブログはせいぜい月イチ更新です。
でも、ツイッターでやっている大人絵本会という催しは、自分で言うのもなんですが、絵本に興味のある大人ならどなたでも楽しんで頂ける、なかなか面白い会なんですよ。
ぜひ機会があればぴぐもんさんも参加してみてくださいね!
Posted by えほんうるふ at 2013年10月09日 23:27
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/375625277

この記事へのトラックバック