2005年04月02日

究極のおにぎりとは

4834011860おにぎり
平山 英三 平山 和子
福音館書店 1992-09

by G-Tools

おにぎりは誰にでも作れるようで、実は難しい料理だ。握りが甘いと食べているうちに崩れてしまい、下手すると具が丸ごと転がり落ちそこらじゅうに飯粒がくっつき・・と、かなり悲惨なことになる。かといってむやみに力を入れて握ると米の粒がつぶれてしまい、妙に歯ごたえのある「固握り飯」になってしまうのだ。
 

もちろん、おにぎりという料理の味自体は、技術よりもそれを食べるシチュエーションに左右されるところが大きいのだが、料理としての完成度を考えると、これまでの人生の中で何百個何千個と食べたはずのおにぎりの中で、パーフェクトな握り具合だったものは、案外と少ないような気がする。

そんな幻の完璧おにぎりを目で味わえるのがこの絵本だ。
ページをめくるなり目に飛び込んでくるのは、相当に年季の入った手が湯気のたつ炊きたてご飯をほぐす様子。
この掌を見れば、これからおにぎりを握る者が若い新人ママやそこらの弁当屋のバイトの若造なんかじゃないことは一目瞭然。おにぎり握って30余年的な貫禄のある手なのだ。(ちなみに私がこの絵を見て真っ先に連想したのは、JR大塚駅前「ぼんご」のおかみさんのゴッドハンドだ)
この手が、ほかほかと湯気のたつ熱々のごはんを手早くかつしっかりと握っていく。余計なコピー不要で確かな信頼と実績が伝わってくる無駄のない手つき。これこそ、しっかりと形をとどめつつ、ふっくらとした炊きたての米粒がちゃんと味わえる究極のおにぎりに違いない!!
具はシンプルに梅干しのみ、それと塩と海苔。無造作に巻かれた海苔の湿り気を帯びたつややかな輝きがたまらない。
最後にできあがった皿にはちゃんと、子供用と大人用に大きさの違うおにぎりが仲良く並んでいるところに母の愛を感じる。
おかあちゃーん!!
 
ここまで読んでたまらなくなったあなた、残念ながらこのおにぎりはコンビニでは絶対に買えません。
いざ、キッチンへ!炊きたてのご飯さえあれば、空腹感とノスタルジーがあなたのいびつな素人握り飯をおにぎり専門店を超える一品に仕立ててくれることだろう。
あるいは、「ただ、おにぎりが食いたくて」と帰省するも良し。そんな思い出が今からでも作れるあなたは幸せだ。
(2005.11.28 一部改訂)

  

 
posted by えほんうるふ at 01:01 | Comment(2) | TrackBack(1) | よだれが出る絵本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。以前TBさせて頂きました。
初心者なものでTBするのに精一杯でした…ご挨拶が遅れて申し訳ありませんでした。

『おにぎり』は我が家の子供たちも大好きな作品で、私にとってもお腹がすいている時には禁じるべき、リアルで魅力的な作品です。

大人読みの視点で書かれているどの記事も面白くて、興味深いです。
これからも勉強させてください。
私の拙い絵本ブログもまだまだ初心者ですが、お時間ありましたら遊びにいらしてください。

宜しくお願いいたします。
Posted by newsongs at 2005年11月04日 00:09
>newsongsさん

TB&コメントありがとうございます。私も始めたばかりの頃はTBで色々と恥をかきました。過去記事へのコメント・TBも大歓迎ですので、お気軽にどうぞ。
Posted by えほんうるふ at 2005年11月05日 01:01
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あつあつ、ふっふっ
Excerpt: 『おにぎり』 作 平山英三  絵 平山和子 また食べ物の絵本。 とにかくリアルで食べたくなっちゃう。 うちの子なんて 写真かと思ったほどの画力なので 本当に炊きたてのごはんの香り..
Weblog: えほんのまいにち
Tracked: 2005-10-11 17:28