![]() | ももたろう まつい ただし 福音館書店 1965-02 by G-Tools |
松居直氏の再話による「ももたろう」は、
無理なく語り部になりきれるリズム感のある
文体で、語るほどに楽しく、癒される。
何よりも嬉しくなるのは、作中そこここに
ちりばめられた擬音・擬態語の絶妙なセンスだ。
例えば、桃太郎の桃が流れてくる時の音といえば、
真っ先に思い浮かべるのは(私の場合)
「どんぶらこ、どんぶらこ・・」なのだが、
この本では「つんぶく かんぶく」と流れてくる。
川のせせらぎに乗って水面を浮き沈みしながら
流れてくる桃の姿が目に浮かぶようなこの響きは
どんぶらこ節に比べるとややインパクトが弱い
ような気もするが、これが意外と声に出して
みるととても心地よいのである。
もちろん、おばあさんが持ち帰ったこの桃は、
味気なくバカーンと割れたりはしない。
「じゃくっと」われるのだ!
果肉の繊維やしたたり落ちる果汁を連想させる
みずみずしい語感は、そこから子どもが生まれる
という展開だけに少々リアルすぎて戸惑うほどだ。
赤羽末吉氏の挿絵がまたいい。これぞ「赤子」だ。
とかく効率優先の現代では会話も短縮語が
当たり前で、擬態語などは無駄なものとして
どんどんそぎ落とされている気がするのだが、
時にはこんな芳醇なことばの世界をあらためて
声に出して味わうのも悪くない。
【声に出して読みたい絵本の過去ログ】
こういう遊びができないと絵本てつまらないと思いますね。「ごっこ」で読むととっても楽しい。
昔話での、ほんとうの「採話」に基づいて作られた絵本は、その言葉もけっこうオモシロイものがありますね。
そして、「歌」がはいってくるものもたくさんあります。
そういった「昔話」の絵本のほうが、読んでいて楽しいですね。
−−「どんとはれ」−−(や)
ごっこに反応していただけるとは、さすが山猫さん鋭い!
どうせ絵本を読み聞かせるなら自分も楽しまなきゃ!と思ってます。「市原悦子・・ごっこ」は大人の楽しみだけど、子どもと一緒に絵本をもとにしたごっこ遊びもよくやってます。桃太郎ごっこは「おともします!」って言うのが嬉しいのよね、子どもは。キビ団子も作ったなぁ・・
うーんと、松居直さんが何かの本で、確か桃太郎発祥の地の岡山まで出かけていって、そこの語り部のばーちゃんの珠玉の「かたり」を直接聞いて感銘を受け、それをもとにあの文を書いた、と述べていらっしゃったのを読んだ記憶があるのですが…定かなことは今分かりません。分かったらここに書きます。
口承文化ってのは廃れる一方ですが、実はその一端を担うのが私の将来の夢(のひとつ)だったりします。怪しいおはなしババァになりたいのだ…。
「ももたろう」は私にとっても、うちの子ども達にとっても物心ついた時存在していたお話です。ちなみに我が家では どんぶらこっこ、どんぶらこっこ です。
楽しくて思わず何頁か読んでしまいましたが、あまり読んじゃうと えほんうるふ さんに影響されて自分を失いそうでコワイので(笑)少しずつ小出しに読ませていただきます。
初めまして。オトナノトモへようこそ!
昔話は自分流にアレンジして伝えてこそ面白いと思います。ただこの絵本の語り口は本当に私の感覚にはマッチしていて気持ちよく読めるので気に入っています。母国語の響きに癒される感覚を実感できます。
どうぞいつでも遊びに来てください。過去記事へのコメント・TBもお待ちしています♪