2006年10月27日

愉しきバーコード・ワンダーランド

ピヨピヨスーパーマーケットピヨピヨスーパーマーケット
工藤 ノリコ 作

佼成出版社 2003-12

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スーパーマーケットが好きだ。
しかしそこは、大好きだからこそ出来るだけ近寄らないように自制している禁断の園でもある。
何しろ、必要な物だけを買って店を出ると言うことが出来ない。
特に、こだわりのパンや総菜・珍しい輸入食材やら製菓材料などが並ぶいわゆる高級スーパーの類に弱くて、一歩足を踏み入れたが最後なかなか出られない。(余談だが、この手のスーパーでは買った物を店の人がレジ横で袋詰めしてくれるのがちょっと嬉しい♪)
大抵は買い物リストという武器を手にしているものの、敵はあの手この手でこちらの好奇心と五感とを刺激してくるので、あっさり陥落してしまうのが常なのだ。

かつて私はこの難関を突破すべく、タイムアタック方式で買い物をしてみたことがある。
やり方はごく単純で、ストップウォッチ片手に店内に足を踏み入れた瞬間から買い物リストをクリアして出てくるまでのタイムを計るだけ。
結果はムダ遣いゼロ&時間短縮で一石二鳥という素晴らしいものであったが、
タイムを競う相手がいない空しさと他の買い物客の訝しげな視線がネックとなり
残念ながらあれから一度も決行していない(^^;)
 

そんな大好きなスーパーマーケットも、子供を産んでからはとんと足が遠のいた。
今思えば、彼らが自力で身動きできない乳飲み子の時分には、多少荷物にはなるが
自分にくくりつけてしまえばスーパーでカートを押しての買い物なんざ楽勝だった。
問題は敵が二足歩行の上達と共に口も達者になる2歳あたりからだ。

子連れの買い物の何が辛いって、「買って買って!」攻撃からの防御と
本能のままに行動するコドモらに人間社会のルールを教えるのに疲れ果て、
気が付けば悪魔に魂を売り渡し、ストレス解消と称して思わずリストにないオトナ仕様スイーツを買ってしまったりすることだ。
帰宅後にふとレシートを見ては
「他より50円安いものを買うために行った先で500円も無駄遣いしてどうする…orz」
とやるせなくなり、疲労感倍増である。

しかしそんなことが度重なるうちに私も学習し、だんだんと日常的な買い物の多くを
生協や各種ネットショップのオンライン注文で済ませるようになった。
今では野菜はここ、肉はあっちで魚はこっち、乾物や加工品はここ…と使い分けもバッチリだ。
これがなかなか快適で、労せずしておいしくて良質な食材が手頃な価格で手に入る上、
「買って!」攻撃はもちろん自分自身の衝動買いもほぼ防げるので、
送料を払っても家計的にはむしろ安上がり。
結果的に街中のスーパーや商店での買い物は本当に急場しのぎでの単品買いか、
買い物そのものを楽しむレジャーとしてのショッピングにほぼ二分されるようになり、
やりくり上手で優雅な生活を送るお利口マダムになったような錯覚すら覚える今日この頃である。

さて、そんな子連れ買い物の悲喜こもごもをご存じの方はもちろん、
単なるお買い物好きの人にも是非是非おすすめなのが今日の絵本、「ピヨピヨスーパーマーケット」である。
にわとりさんちの奥さんはぴよぴよと元気な子供たち5匹を引き連れてスーパーへお買い物。
母一人で5人の幼児連れ…しょっぱなからかなり無謀である(^^;) 
案の定、ひよこたちはスキを見て母親からこっそりカートを奪い、お菓子売り場へ直行!
5人それぞれにお気に入りのお菓子をじゃんじゃんカートに入れて、ちゃっかりレジに並ぶ。
大浪費であわやにわとり家の家計あやうし!というところで間一髪母親が追いついて
無事山盛りお菓子はキャンセルされ、買い物リスト上の夕食材料だけを買って事なきを得る。

かろうじて飴ちゃん1個ずつをあてがわれたヒヨコたちがベソをかきながら言う台詞がいい。

 せっかく いっぱい えらんだのに…
 ぜんぶ いるもの だったのに…
 そんなの かっても つまんない!


彼らの気持ちはよく分かる。
コドモの目から見ればそのまま食べられない食材なんてつまんない商品に他ならない。
もちろん私も幼い頃よく母の目を盗んでこっそりお菓子を買い物カゴに入れ、
会計前に売り場に戻されてブーたれたものだ(笑)。

さて、お菓子の山の夢破れガックリと肩を落として家に帰り着いたヒヨコたちをよそに、
買い物リストを制覇した母は余裕で夕飯の準備にとりかかる。
いつもは楽しいお風呂でも何だかしょんぼりして元気の無い子供たち。
でも、お風呂上がりにはとっても嬉しいサプライズが待っているのだ♪

ばんざーい だいすき おかあさん!!

というわけで、何度読んでも楽しくて嬉しくて開く度にニコニコしてしまう。
スーパーの棚にズラッと陳列されたカラフルな商品を一つ一つ確かめるもよし、
やんちゃで一見無表情だけど何気ないしぐさがとびきりキュートなひよこ達の動きを追うもよし、
とにかくどの頁も見ていて飽きない。

初めて読んだ時、食品売り場の品揃えや値段などが妙にリアルで感心してしまったのだが、
ふと奥付を見ると「取材協力:クイーンズ伊勢丹」とあり、なるほど道理で私が心惹かれるわけだ(笑)。
ヒヨコたちの行動もとにかく可愛くて、よく見るとそれぞれのお気に入りのお菓子を
ちゃんと兄弟人数分カートに入れているのがいじらしい。
にわとりのおとうさんとおかあさんの姿からも、子供たち一人一人を慈しむ大らかな愛情が
じんわりと伝わってきて、しみじみと家族っていいな〜と思える幸せな絵本である。

作者の工藤ノリコさんの絵本をこのブログでとりあげるのは2回目だが、
幼児特有の屈託のない自己中ぶりとそれを上回る可愛い気を、何ともよく捉えて
描く方だなあといつも感心してしまう。
こういう「コドモのいる暮らし」の生活感がある細部書き込み系の絵本といえば
島田ゆかさんのバムとケロシリーズも人気があるが、
あちらのファンの方にもぜひ工藤さんの絵本を読んでみて欲しいと思う。


さらに、スーパーマーケットと言えば外せない絵本がこちらの2冊。
ひたすら明るく清潔でまるで巨大コンビニのような日本のスーパーとはまた違って、
何となく風情のある英国のスーパーマーケットの雰囲気が素敵で、
どちらも古いが私のお気に入りだ。

まいごになったおにんぎょう (岩波の子どもの本)まいごになったおにんぎょう (岩波の子どもの本)
A・アーディゾーニ文 E.アーディゾーニ絵

岩波書店 1983-11-15

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子どもの頃、「スーパーに住めたらいいのに」と本気で思っていた。
食べ物だって日用品だって何でも食べ放題・使い放題だし(そりゃ窃盗だっちゅーの)
これぞパラダイス!と妄想したものだ(笑)。
手芸やおままごとやドールハウスが好きなガーリーな貴方に是非オススメしたい一冊。


paddinton.jpgパディントンの かいもの (パディントン絵本)
マイケル ・ボンド作 フレッド・バンベリー絵

偕成社 1987-06

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そして、輸入食材を扱うスーパーでカートを押しつつブラブラしていると、
いつもこの絵本のパディントンを思い出す。
で、思わずマーマレードを追加したりして(笑)。
大型カート2台に山盛りをお買い上げだなんて、一生に一度ぐらいやってみたい。
残念ながら絶版らしいので図書館などで探して読んでみて欲しい。

(2012.6.21 一部修正)

posted by えほんうるふ at 01:17 | Comment(16) | TrackBack(0) | 嬉しくなる絵本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いやーいつ読んでもスタイルの確立された
隙のない文章ですね、このまま雑誌のコラムに
掲載してもOKでしょう(決して子供向け雑誌ではなく、
偏向したサブカル本が似合う気がします)
うちの嫁さんも生協大好きっ子で、毎晩嬉しそうにマークシートをチェックしています、
逆に僕はスーパー大好きっ子で、値引き品の棚を眺めては
香菜やしなびたセロリをほくそえんで買ってたりします。
ああ絵本の話でしたね、まあどうでもいいんですよ絵本のことは、
俳句に季語を入れるように絵本ブログの枕詞みたいなお約束ですから。
と思いながらも「ピヨピヨスーパーマーケット」を読みたいなと思ってしまった僕は
まんまとこの一流営業マンの世間話9仕事話1作戦に乗せられているのでしょうか。
コメント一番乗りで恐縮です
Posted by 絵本おじさん at 2006年10月28日 00:02
>絵本おじさん

いかにも絵本おじさんらしいコメントを読んで嬉しくなりました(笑)「まあどうでもいいんですよ絵本のことは」って、アナタが言うか(^^;)

絵本のあらすじ紹介と感想だけじゃ学校で配られる夏休み推薦図書リストみたいになっちゃって書いててつまんないんですよ。結局私がこのブログでやっていることは絵本を通してのささやかな自己主張&ストレス発散なので、絵本のことしか語れないなら記事にする意味がないんです…。
ピヨピヨスーパーマーケットで描かれている世界は、私にとってコドモがコドモらしく過ごせる健全で幸せな家庭の象徴なんです。私の幼少時代はもっと殺伐とした日常だったので、こういう微笑ましい情景に憧れがあるんですよ(笑)

何はともあれ、サブカル雑誌向き文章と評していただければ私にとっては最高の賛辞です。引き続き精進いたしますm(_ _)m
Posted by えほんうるふ at 2006年10月28日 20:28
あたしも大好き。何時間でもいれる高級スーパー。あぁ〜ゆっくり品定めしていたのは、いつだったろう?今我が家のドーターはまもなく2歳。えほんうるふが言うその時期に突入です。
でもって、もうすぐ二人目が出てきそうよ。なので宅配生協に入ってみたりしたけど、やっぱり味気ないのよねー。
わかる?この感じ。笑。
私は、絵本おじさんの次のコメントに恐縮です♪
Posted by すまいる at 2006年10月29日 15:33
えほんうるふさん、おっと。
工藤ノリ子さんだ♪
『せみくんいよいよこんやです』で惚れました。
この作品も好きです。

私の場合。絵本紹介の記事は、“読んでくれる人のため”に始めたハズだったのに、気づけば記事を書くことで新しい発見をし、コメントやTBで勉強し、再び読みたくなる・・と、完全に“自分のため”になってしまってます。
自己満足だって、なんだって、続けることに意義がある!・・のか?!

『マルラゲットとおおかみ』読みました!
なるほどの一品で、長男の反応も楽しめました。
ご紹介、ありがとうございました☆
Posted by わかな at 2006年10月29日 19:21
>すまいる

ドーターちゃん2才かぁ。2才&新生児って普通けっこうハードだと思うけど、すまいるならゆるりゆるりとこなしちゃいそうだね(笑)。

宅配生協は便利だよ〜味気ないっちゃ味気ないけどゆっくりスーパーで品定めできない時期でも家でカタログじっくり読んで商品研究できるのが楽しかったよ。でもすまいるのとこなら普通に地元の商店で買った方が産地直送でうまいんだろうなぁ…
Posted by えほんうるふ at 2006年11月01日 01:23
>わかなさん

せみくんいよいよ…もうちの子たちのお気に入りです。夏になるといそいそと本棚から出してくる(笑)

わかなさんは読者主体で絵本紹介を始めたんですね。私はもともと自分の文章を読んでくれる人がいるとは全くの想定外でしたので…(汗)ただ、最近になって少しは読み手のことも考慮するようになりまして、自分なりに編集方針を定めたりしています。「嫌いな本については書かない」とかね。
でも、ブログを始めて初めて実感した「表現の場がある幸せ」は大切にしたいなと思ってまして、それこそ、続けることが最大の意義なんです。
てなわけで今後もどうぞ、細く長くおつきあいくださいませm(_ _)m
Posted by えほんうるふ at 2006年11月01日 01:25
工藤ノリコさんの絵本は情報量が多いので、
開いた瞬間に一瞬引いてしまうことが多々あるのですが……。
あまりに面白そうなので読んでみたいと思います。


私、宅配もので買い物できないんですよ〜(泣)
結局スーパーでも買ってしまって二重買いになっちゃう。
「計画的」とか「やりくり」とかいう言葉とのあまりの相性の悪さに気付き、数年前にやめてしまいました! あ〜〜〜、スッキリ!
こんな母でも子は育つ。

あ、パディントンのマーマレード!懐かしいですね〜♪
Posted by miyaco at 2006年11月02日 09:40
ご紹介の絵本より、スーパーの話に笑ってしまい
読み終わってみれば絵本のことは覚えていない。
ちょこっと添えられた文章が面白いのも良し悪し?(笑)

こんにちは。
私もスーパー大好きです。
予定外な買い物は日常茶飯事。
毎日の買い物は仕事帰りに急いでいるのであまり無駄がありませんが、休日の買い物は要注意です。
ウェルシアとかマツモトキヨシみたいな食品も扱うドラッグストアは鬼門かもしれません(苦笑)

 せっかく いっぱい えらんだのに…
 ぜんぶ いるもの だったのに…
 そんなの かっても つまんない!

読んでみようかな^^
Posted by 柊 at 2006年11月03日 10:37
>miyacoさん

「開いた瞬間に一瞬引いてしまうことが…」
分かるような気がします(笑)。
miyacoさんはきっと感受性のスルドイ方なんですね。
工藤さんの絵は柔らかい色調で描かれているのでまだいいんですが、
あれでもう少し色合いがビビッドだったら私も引いたかも。

宅配で買い物していると、買い物のダブりは時々ありますね。
同じ食材が大量に抱えてしまうことになるけれど、私はそれはそれで結構楽しんでしいます。キャベツ祭りとか大根祭りとか言って(笑)。
日頃作らないアレンジメニューに挑戦してみるのも面白いですよ。
Posted by えほんうるふ at 2006年11月04日 08:23
>柊さん

ははは、絵本おじさん風に言うなら、「絵本のことはどうでもいいんですよ」(笑)
いや、絵本もとても面白くて可愛い作品なので是非読んでみてくださいね。

ああ、ドラッグストア、それは間違いなく鬼門ですね(笑)
ソニープラザとかSHOP INはさらにヤバイですね。時間・お金共に浪費額倍増の恐れアリ(爆)
活字中毒なので商品に添えられた一言ポップとかに吸い寄せられちゃうんです。
オンラインショッピングでも、口コミ豊富なサイトではつい長時間過ごしてしまう私です。
Posted by えほんうるふ at 2006年11月04日 08:23
初めてコメントします。いつも楽しく読ませていただいています。
うちも購入しました!そして毎晩毎晩3回は読まされています。
特に
「せっかくいっぱいえらんだのに!
ぜんぶいるものだったのに!
そんなのかってもつまんない!」のところが娘はとてもお気に入り。読み手(私)の力もはいります。
あちこちで見られる親子連れの姿もみょ〜にリアルで楽しい絵本ですね。これからも楽しみにしています。
Posted by たぬき at 2006年11月23日 03:07
>たぬきさん

コメントありがとうございました。
って今頃書いてもお読みでないかも知れませんが…
丁度忙しい時期に頂いたコメントで見落としていたようです。大変失礼いたしました。

私も「せっかくいっぱい〜」のくだり、大好きです。
子供ならではの無邪気な自己チューさが良く出ていて、可愛くてたまりません。
そんなの買ってもつまんない!とか言っておいしいお料理になれば喜んで食べるクセに(^^;)

ブログ更新する暇がなく放置してますが、書きたいネタはたくさんあるんです〜
またどうぞいらしてくださいね。
Posted by えほんうるふ at 2006年12月26日 16:51
タイムアタック方式を思いついて決行した実行力が凄いですねー。妄想して思わず笑ってしまいました。タイムを競る相手がいない空しさに辞めてしまうと言うところが、更に可笑しい。

独身の私としては、家計とスーパーの買出しはいつも丼勘定になってしまい、鬼門のひとつです。お金ともっと細やかに付き合えるようになりたひ。。
Posted by トリックスター at 2006年12月29日 15:52
>トリックスターさん

こんなところまで遠征していただいて恐縮です。
タイムアタック方式、中々楽しい暇つぶしになるんですけどね〜。レジのおばちゃんの人選がカギだったりして(笑)

丼勘定、男らしくていいじゃないですか!
むしろ、独身男性がやたら細やかな家計管理してるほうが怖いですよ…(^^;)
個人的には男女を問わずメリハリのある金遣いをする人は人間的に面白いものを持っていて好きです。一緒に暮らすには苦労するでしょうけど(笑)。
Posted by えほんうるふ at 2006年12月30日 03:52
はじめまして。
いつも楽しく拝読させていただいています。
おすすめの「ピヨピヨスーパーマーケット」先日購入しまして、
娘がとても気に入ったようです。
幼稚園のおはなし会で使ってみた感想など、私のブログでも紹介させていただきました。
記事の中でこちらのブログをリンクさせていただきましたので
お時間のあるときにでもご確認くださいませ。
えほんうるふさんのレビュー、これからも楽しみにしています。

Posted by ちゃちゃまる at 2007年01月20日 00:25
>ちゃちゃまるさん

初めまして!
隠れ常連(?)さんからの初めてのコメントというのは、いつ頂いても嬉しいものですね。
いつもお読みいただきありがとうございます。

ピヨピヨスーパーマーケットは我が家でも息の長い人気本です。
「親も気に入ってる」っていうのがポイントですね。
読み聞かせが楽しいから出番が多くなるというか。
後ほどブログの方もお邪魔させて頂きますね。
Posted by えほんうるふ at 2007年01月22日 02:15
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