![]() | うちにかえったガラゴ 島田 ゆか 文渓堂 2002-06 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
仕事で常に全国を飛び回っていて、住所不定に近い生活をしている人にとって、
マイホームとはどのような場所なのだろう。
たまたま先日観たジョージ・クルーニー主演の「マイレージ・マイライフ」という映画では、
主人公のライアンは1年のうち322日を出張に費やし、全米を股にかけて年間350万マイルを
飛行機で移動し続けるという生活をしていた。
マイレージ1000万マイル達成を目指す彼にとっては、フライト中の機内こそがマイホーム。
搭乗口では馴染みのグランドホステスが「おかえりなさい」と出迎えてくれる。
そんな彼の「帰宅」シーンが作中に出てくるのだが、ちっとも嬉しそうではなく、
むしろ仕方なく嫌々立ち寄るという風情なのが印象的だった。久しぶりに帰った我が家のドアを開けても、「おかえりなさい」と出迎える者はいない。
生活感も温もりもない殺風景なアパートの部屋は寒々としていて、
久々に顔を合わせる隣人との世間話も弾まない。
一見華やかに生活ぶりで社会的に成功し活躍しているように見えても、
文字通りの「地に足の付かない生活」がいかに空虚であるか・・。
このシーンはそのことをさりげなく鮮烈に描き出していたように思う。
今日の絵本、「うちにかえったガラゴ」も、滅多に家に帰らない行商カバン売りのガラゴが、
故郷のマイホームへ帰る話だ。
苦手な寒い季節が来る前に、温かく快適な古巣へと戻ってきたガラゴ。
その帰郷シーンは前述の映画とは対照的に、あたたかく豊かな生活感に充ち満ちている。
そもそも、ガラゴの家は長期間不在にしていたとは思えないほど完璧に整えられている。
ガラゴは自分の不在中の家の管理をプロのハウスキーパーに頼んでいたのだろうか?
まるでちょっとそこまで買い物に行って帰ってきたかのように、長旅から帰った直後に
すんなりと日常がリスタートできる家は素敵だ。
そのうえ、この家のインテリアの完璧に計算された心地よい雑然さと言ったら!
これほど物と色とがあふれているにもかかわらず、部屋の隅々まで見事に調和が保たれ、
全体的な室内の雰囲気には、どこか落ち着きすら感じられる。
これぞ、作者の島田ゆかさん流の高度なインテリアコーディネート術のなせる技。
おそらく、島田さんのファンの人は、みな彼女のこの魔法に夢中なのではないだろうか。
そして、待ってましたとばかりに、絶妙なタイミングで次々と訪れる気の置けない仲間達。
きっと彼らはガラゴの帰宅が1ヶ月ぶりだろうと1年ぶりだろうと10年ぶりだろうと、
全く意に介さず当たり前にこうしてやってきて、変わらぬ笑顔で乾杯するのであろう。
どれほど滅多に家に帰らない生活であろうとも、遠く離れた我が家を大切に思い、
そこで育んできた生活や残してきた仲間をケアする気持ちを忘れなければ、
マイホームというものはこうしていつでも人を温かく迎えてくれるものではないだろうか。
全ての人に「ホーム」が必要なのだと思う。
なぜなら、長い人生をずっと「アウェイ」で過ごせるほど、私たちは強くないからだ。
人との関わりが希薄な都会で生活していると、ともすれば隣人の顔も知らずに毎日が過ぎていく。
それは、ある意味とても気楽な環境だ。
でも、しがらみの煩わしさに縛られない自由と引き替えに、
ホームグラウンドの安心感の源となる横のつながりや地域への帰属意識を自ら捨ててしまうのは、
とてももったいないことだと思う。
人は一人では生きられない。今年、そのことを嫌と言うほど私たちは思い知らされたはずだ。
あなたの「ホーム」を愛そう。
いつか旅立つ日のために。そしていつか帰ってくる、その日のために。
お気に召しましたら・・



私は、家族が喜んで帰って来られる温かいホームを作ってるかしら?ちょっと不安になりましたが…。明日、どんな展開になるのか、誰がドーナツを用意して参加されるのか、楽しみです!
会が終わってまとめの編集完了したところですっかり安心してしまって、こちらの返コメ忘れてました。ごめんなさい(^^;)
先日の大人絵本会は、願い通りのあったかい雰囲気で盛り上がり、寛げる時間となりましたね〜。
何が嬉しいって、自称「島田ワールド食わず嫌い」だったたくさんの方が、その魅力に開眼してくださったこと。
こういう反応はまさに主宰冥利に尽きます^^
ところでゆみ〜さんのお家は、私の知る限りいつもあったかい空気が流れていそうですよ!
あったかくて、ホッとできて、なおかつクスクス笑いや微笑みの絶えない場所。
私の家もそうありたいな〜と思っています♪
絵が苦手でなんで人気なんだろう?と遠くから思っていましたが。。。読んでいると、家の中を自分の気持ちよくなるもので整えよう!美味しいものを食べよう!と思えるこの不思議。下手な片付け本よりいいかも。何より楽しいし♪これからバムケロシリーズも読んでみたいと思います。出会わせてくれてありがとうございました。^^
いざってときに私が帰れる場所はやっぱり母かな。
だから、自分が娘の第二のホームでありたいです。
私の恋愛事情はちょっと変化しつつも継続中。
まだまだ波乱万丈モード全開?で、先が読めません。
さて、彼のホームに私がなれるかな?
今の家には2月に引っ越し、彼とちょこちょこ別れている間に
自分自身の快適さ優先で自力で模様替えをし、
今は家で過ごす時間がとても心地よいです。
相変わらずの雑然さだけど(^_^;)、今度ぜひ遊びに来てね♪
せっかくコメント頂いていたのにお返事しそびれていたようで、失礼いたしました。
身の回りを整えて、心地よい空間を作りたくなる・・分かります。
生活を楽しんでいる感じが伝わってきて、家事へのモチベーションが高まるというのが、この絵本の隠れた威力ですね(笑)。
良かったらまた絵本会ものぞいてください♪
私のホームは、やっぱり一番は我が家だけれど、もう一つはこのブログかなーと思っていました。
でも、気がつけばさらにもう一つ、いつでも気負わず心地よく、それでいていつも好奇心いっぱいでいられる空間をネット上に作ることができました。
ネット上のコミュニティって、実体が無いようでイマイチ「ホーム」にはなり得ないように思えるけど、これがなかなか強力な存在感がありまして、今では私の精神衛生上なくてはならない空間と言えるかも。
さてさて、かめちゃんは相変わらず恋に生きる女なのね〜(*^_^*)
引越も完了か・・いつも私の知らない間に新しいステージに入ってるね。
(もしかしてあっちの日記にいろいろ詳細書いてあるのかな?)
年明けには時間作れると思うので、是非遊びに行かせてね。
積もる話が雪崩になりそうだわ〜(^^;)