2011年03月27日

私に今できること

百年の家 (講談社の翻訳絵本)百年の家 (講談社の翻訳絵本)
J.パトリック・ルイス作/ロベルト・インノチェンティ絵/長田 弘訳

講談社 2010-03-11
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3月11日(金)に発生した東北地方太平洋沖地震により、被害にあわれた皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
そしてまた、この地震によって尊い命を失われた方々のご冥福をお祈り申し上げます。


未曾有の大地震から2週間が経った。
大津波に火災、原発事故・・次々と起こる連鎖災害に、人々の生活は今なお脅威にさらされている。
初めて経験する大災害のカオスの中で、誰もが先の見えない不安を抱いて生活している。
もちろん私も、被災地を支える側の人間として、また、まだ手の離れない子どもたちを守る親として、
手探りの情報収集と思案と選択を繰り返す日々が続いている。

それでも、このことは、これまでのほほんと生きてきた私にとって、
今後の己の生き方を改めて問い直すきっかけとなった。

被災地の為に今の私にできることと言えば、義援金や支援物資の提供ぐらいしかない。
あとはとにかく冷静さを保ち、自宅での節電・節物資の生活を心がける一方、
過度の消費活動自粛で懸念される日本経済の共倒れに抵抗すべく、
外食等のサービス産業を普段より積極的に利用するぐらいだろうか。

だから春休みの家族旅行も、結局キャンセルせずに予定通り決行した。
ただ当初の予定と違っていたのは、私がその旅の荷物の中に、数冊の絵本を忍ばせてきたことだ。
この間に、私が今こそ改めて読みたい、読んでほしいと思った絵本を紹介できたらと思っている。
廃墟のような石造りの家。その戸口の横板に記された1656の年号。
しかし、この絵本で語られる物語の始まりは1900年となっている。
つまり、この絵本の主人公である「家」には、作中で語られない約250年もの歴史が既にあることが、
冒頭でさりげなく読者に明示されているのである。

「家」は、二世紀半という途方もなく長い年月の重みをさらりと流し、
その後100年間のさらなる変遷と淡々と語り継いでいく。
そこには、繰り返される天災や人災を力を合わせて乗り越え、
次の世代へと命をつなげていく逞しい人間たちの姿が描かれている。

彼らは決して特別な能力や類まれな運に恵まれた人々ではない。
むしろ今の私たちに比べたら何も持っていないといっていいぐらい貧しく弱く恵まれない人々だったはずだ。
それでも人は数々の試練に耐え、学び、必死でその命を繋いできたのだ。


私たちは今まさしく、これから長い年月をかけて乗り越えていかなければならない試練に直面している。

極端な情報化社会に生きる私たちは、刻一刻と入る速報ニュースに一喜一憂しながら生き急いでいる。
だが、何百万年と続いてきた人類の歴史からすれば、数十年、数百年などほんの一瞬かもしれない。

ならば私はせめて、遠い未来の子供たちに胸を張って「私は自分の時代を精一杯生き抜いた」
と言えるよう、与えられた命を精一杯全うしたいと思う。

この絵本は私たちに自分たちの強さを教えてくれる。
一人ひとりの力は弱くても、我々は強く賢くしぶとい生き物なのだ。

例え世の中が暗く打ちひしがれる日々が続こうとも、必ずや子どもたちの笑顔は戻ってくる。
そして、子どもの笑顔という希望の灯がある限り、大人もまた試練と戦う勇気をもらうことだろう。

私がもし明日死んだとしても、その明日を笑顔で過ごす人が必ずどこかにいると思えるのは、
とても心強く幸せなことだ。
今日その貴重な命を全うした誰かのため、そして明日を生きる誰かのために、
いつ終わるとも知れない自分の時間を精一杯大切に生きたいと、私は思う。


お気に召しましたら・・
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posted by えほんうるふ at 23:27 | Comment(2) | TrackBack(0) | 大事なことを教わる絵本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
えほんうるふさんの書かれている文章に、うなずきながら「百年の家」の予約(図書館)を入れました。 
自然災害と、人間が作り出した物から起きた大災害。 これを機会に、自然の大切さ、素晴らしさ、恐ろしさ・・・を再確認して、この試練をどうやったら乗り越えて行けるのか、各分野の専門家の方たちと協力しあえれば・・・・と思います。
Posted by MOMO at 2011年03月28日 09:26
>MOMOさん

本当にそうですね。とにかく各人ができることを精一杯やるしかないと思います。
私たちの先祖も、そうやって日々を生き抜いてきたはずですが、
技術の進歩に反比例して生き物としての生命力が衰えていそうな
現代人にとっては、かなりの試練となりそうです。
お互い、この時代をしぶとく生き抜きましょう!
Posted by えほんうるふ at 2011年03月30日 17:12
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