![]() | きょうはなんのひ? (日本傑作絵本シリーズ) 瀬田貞二作・林明子絵 福音館書店 1979-08-10 おすすめ平均 ![]() Amazonで詳しく見る by G-Tools |
最近我が家に独身男女が集う機会が多いのだが、後で会った時に「えほんうるふさんとこみたいな夫婦関係が理想です」などと言われることがある。
その実態は、折角遊びに来て下さった他人様の目の前で険悪なムードを晒すわけにも行かず、お互いちょっと無理して最大級の仲の良さを演出しているに過ぎないのだが…(爆)
しかし、それを彼らにマジ語りするのは甚だしくオトナの夢を壊すような気がして、つい
「いやー、いつもケンカばっかりですよ」「またまたぁ〜」なんて応酬で流すことになる。
実際、ひどい時には最初の客人がチャイムを鳴らすその瞬間まで壮絶な舌戦が展開中だったりするのだが、そんな状況すら平然と繕えてしまうのは、キャリア15年の「夫婦芸」のなせる技か。
(いや、多分既婚者にはバレバレだと思うが…気づいた方には大人の対応を望みます)
でも、「きょうはなんのひ?」の主人公まみこの両親は、本当に仲がよいのだろうと思う。
母に無邪気に謎かけをしながら嬉しそうに学校へ向かうまみこの笑顔には、一点の曇りもない。
恐らく、まみこの母親はここ数日娘の様子が怪しいことにうすうす気づいていたに違いない。
それでも、そんな娘の無邪気ないたずらに快く乗せられてあげる心の余裕があるのは、まみこの母親の結婚生活がそれだけ安定している証拠ではないかと思う。
実際には、まみこの考えた仕掛けはあまりにも手が込んでいて、とても小学生が一人で考えついたとは思えない凝りようだ。いったいまみこにはどんな敏腕ブレーンがついているのかと勘ぐりたくなってしまう。まして、情報リテラシーの低年齢化が著しい今の時代なら、幼児や小学生向けの「お母さんをぜったい泣かせる母の日プランニング」等の、愛される子供演出サービスがあってもおかしくない。親としては、むしろ嬉しさ半減という気がしないでもないが…。
それにしても、この絵本は昭和40年代生まれの私にはたまらない懐かしさに溢れている。
表紙の保温ポット、まみこの吊りスカート、足踏みミシン、ピアノカバー、黒電話・・・
色合いからしてもうツボなのだ。
今時の子供の目には、ごちゃごちゃとして垢抜けない家のように見えるのかも知れないが、新築マンションの洗練されたモデルルームには無い、温かい血の通った家族の生活がそこには見える。
この絵本が親から子へと読み継がれ、今も絶版にならず残っていることがとても嬉しい。
親子3人が仲良く居間のこたつに入り、まみこの手作りのプレゼントを開けている。その背後にさりげなく置かれた、新婚当初と思われる夫婦の写真。
冒頭のまみこの曇りのない笑顔は、朝夕この写真を眺めて微笑むことで培われたのかも知れない。
おそらく何年「夫婦芸」のキャリアを積んだところで、我が子の目はごまかせないのだろう。
顔で笑って心で泣いている母、普通に会話しているようで視線を合わせない両親、
そんな空気を嫌でも察して人知れず傷ついている子供はきっとたくさんいる。
私も夫も、そんな家庭の居心地の悪さを知っているからこそ、あえて子供の前で諍いを隠さない。
そこにいる皆がヤバイと分かっているのに、誰もそれを口に出さない状況ほど怖いものはない。そして子供はそんな空気に異様に敏感なのだ…。
「今ね、悪いけどお母さんとお父さん、ケンカしてるから!」「えー、またぁ?」
「ねえお母さん、まだお父さんとケンカしてるの?」「そうね〜そろそろ仲直りするか…」
願わくばどうかこの先もずっと、こんな会話が親子で交わせる家庭でありますように。
お気に召しましたら・・



もう最高ですね。
自分の幼き時の(未婚故‥)両親を思い出しながら、そうそう、あったあったそんな時代。
本気でかーさん泣いてたわ‥などなど思い出しておりました。(笑)
この絵本とこのブログ記事を読むと
愛とは学習する事なのだと悟ります。ふふふ。
「愛とは学習すること」何気に名言!!
確かに恋は本能だけど愛は学習しないと身につかないもの、そしてその学びの道は死ぬまで続く・・そんなもののよーな気がします。
学習を超えるような盲目の愛を経験してみたいものです(笑)
夫婦の絆って作ろうと思って作れるわけでもなく、尚且つ一緒に暮らしていけば自然にできるわけでもないので難しいですよね。
>「愛とは学習すること」何気に名言!!
そうか、日々学習していってるんでしょうかね。
私も昭和の足踏みミシンや黒電話、とっても懐かしく感じました。
「作ろうと思って作れるわけでも」「自然に出来るわけでも」ない、本当にそうですね。
おまけに、たとえあっても普段は実感も出来なくて、失ったり失いかけた時に初めて気付くものなんじゃないかしら、なんて思ったりします。
せめて、いつ絆が試されてもいいように、夫婦お互いに感謝を忘れずに毎日を過ごしたいものですね。