2010年02月28日

魔法のリセット装置

kakebuton.jpgしきぶとんさん かけぶとんさん まくらさん
(こどものとも年少版 2010年2月号)

高野文子 作・絵

福音館書店

先日、ひま・めも2のひまわりさんから、素敵な絵本をご紹介いただいた。
高野文子さん作の、「しきぶとんさん かけぶとんさん まくらさん」がその絵本。
さすがオトナノトモがリスペクトしてやまない「こどものとも」。
また一つ傑作集としての刊行が待ち遠しい名作に出会えて、とても嬉しく思う。
寝ることが何よりも好き、という大人は結構多い。
多忙を極める毎日でさぞやお疲れなのだろうと思うところだが、別に疲れていなくても純粋に惰眠をむさぼることが最高の贅沢だと思っている人もいる。もう育つ必要もないのにあえて何もしないことに時間を使うのは確かに贅沢かも知れない。
一方、子どもは寝ろと言ってもなかなか寝ない。やりたいことが多すぎて、一日が終わってしまうのが惜しくて、親に叱られてもなお、あと10分、5分、いや1分でも長く起きていたがる。
そのくせ、そんな子どもに限って布団に入ったら3秒で熟睡していたりする。なんと無駄のない仕様かと感心する。
多分、それは成長期の人間として、とても健全なありようなのだろうと思う。

かくいう私も、寝るのが惜しくてついつい夜更かししてしまう。単に夜型人間ならばその分遅くまで寝て睡眠時間を確保するのだろうが、私の場合は単純に一日の活動時間が足らないので、やむなく24時間のうち睡眠にあてる分を削っているという状態だ。
おかげでもう若くもないのに、一日の睡眠時間は約5時間という不健康さ。きっと長生きは出来まい。

さて、そんな私でも布団は大好きだ。一日の終わりに床に入って目をつぶる、この至福の瞬間は何ものにも代え難いと思っている。
きっと、さんざん粘ってからイヤイヤ布団に入る子ども達も、今日一日の戦いを終えて母なるぬくもりに包まれるあの安堵感を日々堪能しているに違いない。

今日の絵本は、まさにその何ものにも代え難い布団の偉大さを謳いあげた布団賛歌である。
そこに擬人化されて登場する三種の神具、いや寝具達は、いずれも究極にシンプルな姿に描かれている。敷き布団なぞ、まるで布団というより体育館で使うマットのようだ。
また文の方も、絵に負けず劣らずシンプルだ。潔くそぎ落とされた素朴な言葉が並んでいる。
それなのに、ああそれなのに、何だろうこのあったかさは!

しきぶとんさん かけぶとんさん まくらさん
あさまで よろしくおねがいします
あれこれ いろいろ たのみます

まかせろ まかせろ あしたの あさまで
おれに まかせろ 
おれに まかせろ


読むほどに、彼らの頼もしい包容力がじんわりと伝わってきて、嬉しくなってしまう。
余計なものが一切そぎ落とされ、背景すらないシンプルな構図。
だからこそ、一番伝えたい思いがこんなにもストレートに心に響くのだろう。
まさに、ひま・めも2でひまわりさんがおっしゃった「引き算の美学」がそこにはあり、
何よりも、子どもも大人も等しくその心地よさを味わえる、懐の深さがたまらなくいい。


オトナも辛いけど、コドモだって辛い日がある。
不安な夜も、寂しい夜も、心や身体が痛くて泣きたい夜だってある。
でも、きっと大丈夫。
まかせろ まかせろ おれにまかせろ と、
その人なりの生きる力を応援し、励まして支えてくれる心強い味方がいる。
それはテンピュール枕じゃなくても、マニフレックスのマットレスじゃなくても、
アイダーダウンの超高級羽毛布団じゃなくってもいい。
ただ今日一日を頑張って生きた自分をあたため、揺らいだ心をしっかり受け止めてくれればいい。
明日は明日の自分になって、また前を向いて一日をスタートできるように・・・。


追伸、というか私信
ひまわりさんへ: ひまわりさんのレビューにあった「引き算の美学」という言葉に触発されて、ちょうど気になっていたtwitter関連の話題に絡めて書くつもりでしたが、取り寄せてみた「しきぶとんさん・・」がどうにも素敵すぎて、結局は布団礼賛(?)な話に終始してしまいました。twitterについてはまた改めて!



お気に召しましたら・・
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posted by えほんうるふ at 17:21 | Comment(6) | TrackBack(0) | 嬉しくなる絵本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
某所から跳んで参りました(^^)
ちょうど今年度の年少版は、3歳の息子用に購読していたところです。
(本当はこの4月から年少ですが、字が読めるようになってしまい、うちにあった「こどものとも」を片っ端から読みあさっていたので・・)

「しきぶとんさん〜」、息子も気に入ってるようです。
私も「高野文子さんが『こどものとも』に!!」と驚きました。(ああ、世代がバレますね(^^;;))
今年度の年少版は個人的にツボな作品が多かったように思います。
もともとは「わにわに」シリーズの最新作が目当てだったんですが、1月号の「いしゃがよい」もすごくよかったです。
Posted by Moo at 2010年03月01日 10:17
>Mooさん

こちらまでご足労頂きありがとうございます(*^_^*)

こどものとも年少版は、本当に小さい子にはキャッチーな内容ですもんね。もう字が読めるならママが忙しいときも一人で読んで楽しめるのでいいですね。

そうそう、高野文子さん作であることが結構話題を呼んでいるようですね。
私は多分世代的にドンピシャ(って死語だな・・)なんですがたまたま高野さんの漫画作品に触れる機会がなかったようです。評判が良いので是非漫画の方も読んでみたいと思っています。

「いしゃがよい」も良かったですね。私も好きです。あの「まんが日本昔話」を彷彿とさせる垂直に登る山がツボでした(笑)

Posted by えほんうるふ at 2010年03月01日 22:19
すばらしいレビューありがとうございました。
読みながら、そうそう、そうなのよ!!
じたばたしてしまいました(笑)

えほんうるふさんは、私がぼんやりと感じているものの、言葉にできないでいることを、さらりと解説してくださるのがツボで、いつも楽しく読ませていただいているのですが、特に今回のレビューは、言葉に出来ないでいた私の消化不良な思いを、みごとに払拭してくれました。
本当にありがとうございます!

私信、了解です。
布団礼賛万歳!!(笑)
次のレビューも楽しみにしています♪

あ、こちらも私信。
「こどもへのまなざし」読了しました。
引き続き「続・こどもへのまなざし」を読んでします。
この本を読んで、子どもと過ごすひとときが、とても大切な愛おしいものだということを、痛感しています。
Posted by ひまわり at 2010年03月02日 07:46
>ひまわりさん

本当に、素敵な絵本をご紹介いただきありがとうございました。
始めはtwitterの件もあれこれ書いていたんですが、どんどん話が発散して収拾つかなくなってしまったので、とりあえず今回はシンプルにこの本の素晴らしさを称えることにしました(汗)

ちなみに我が家の場合、季節限定で「ゆたんぽさん」も布団オールスターズ入りします(*^_^*)

「こどもへのまなざし」、文章量の割に読みやすいですよね。
私も折に触れ読み返して、初心を思い出すようにしています。
Posted by えほんうるふ at 2010年03月02日 21:22
「高野文子さんが『こどものとも』に!」と驚いた2号です!

漫画の時とは少し違う様子なのも、気になっています。

がぜん、読んでみたくなりました。うずうず。

田舎は寒いので、こちらは「でんきもうふさん」も殿堂入りです〜。

ああ楽しい♪ これ、口ぐせになりそうです。

こういうの見つけられるのは、
いかにえほんうるふさんが、子ども要素と大人要素をバランスよく持っているかということだなあと思いました。
Posted by 007 at 2010年03月03日 00:54
>007さん

今日は日差しが温かくてひなまつり日和でしたね。

お、ここにも高野さんに反応する人が。これはますます読んでみなくては!

コドモ要素って、要はオトナ気無くなんでも面白がるってことかしら(^^;)
Posted by えほんうるふ at 2010年03月03日 20:46
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