2009年07月21日

苦しい言い訳

あつさのせい? (日本傑作絵本シリーズ)あつさのせい? (日本傑作絵本シリーズ)
スズキ コージ

福音館書店 1994-09
おすすめ平均

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梅雨明けから1週間。東京は今日も朝から晩までハンパなく暑かった。
こう暑いとどうもイライラしてケンカが増える。
近頃私と息子の親子バトルが一触即発状態なのも、
普段は気にしない夫との些細な価値観の相違が許せないのも、
みんなみんな暑さの所為なのだろうか?!

 
普段は聖母のように心穏やかな私(大嘘)ですらこれだけ凶暴化するのだから、
もともとその素質がある向きならば言わずもがな。
さっそく不快指数と犯罪発生率の相関について調べていたら、面白い学説を見つけた。
「アイスクリームが売れると、犯罪発生率が高くなる」というものだ。
簡単に言えば、アイスクリームがよく売れるぐらい暑い日は、
それだけ不快指数が高く、そのせいで人が分別を失って犯罪率が高まる
ということらしい。
なるほど、風が吹いて桶屋が儲かる仕組みよりも単純明快である。
でも実際には、アイスクリームで頭を冷やして犯罪を思いとどまる単細胞も案外多かったりして。

というわけで今日の絵本はその名もズバリ「あつさのせい?」である。
内容はまさしく上記の学説を子供にも分かるようにかみ砕いて絵本にしたようなものだ。

とても暑い日に駅で電車を待っていた馬のはいどうさんが、帽子を取って汗をぬぐっていると
電車が来たのでつい帽子をベンチに置き忘れて乗って行ってしまい、
そこへ通りかかったきつねのとりうちくんがつい出来心でその帽子をかぶり、
さらにトイレの鏡にうつる自分のイカスすがたにボーッとなって、
つい帽子をかぶったまま自分のカゴをトイレに置き忘れて行ってしまい、
そこへ用足しにきたブタの三吉がとりうちくんのカゴをひろい・・・
とまあ、この調子で無邪気な出来心の連鎖が起こるというかなり危なっかしいストーリーである。

よい子ならびによいオトナの皆さんはご存じだろうが、他人の忘れ物や落とし物を
勝手に持ち去るのは遺失物等横領、つまり立派な犯罪である。
刑法第254条において「遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、
1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。」と定められており、
無論「あつさのせい」という言い訳は通用しない。(爆)

ま、そこんところを百も承知で味わってこそのオトナ読みである。
だいたい、いずれの珍事もまあ気持ちは分かるというか、
悪気は無いのだし暑さの上での出来心なのだし、今日のところは
にんげんだもの。(いや動物だけどなw)ってことで、
みつを並みの寛い心で許してやるかという気にもなる。

これがもし、
暑さのせいでつい恋人を殴ってしまったとか、
暑さのせいでつい会社の金を横領してしまったとかいう話なら、
病院か警察へ直行してもらうところだが、
この絵本の世界にそんな残念なオトナはもちろん存在しない。
淡々と事件が起きるなか世界はいたって平和に回り続け、人々は今日も楽しく我が道を突き進む。
これぞまさにコージズキン一流の怪しくもクセになるイモヅル式ストーリーテリングの妙なり!

いやー、この絵本のおかげで明日は我が身の身近な刑法について楽しくお勉強してしまった。
これだからオトナ読みはやめられない。
最後に、この絵本から学べるありがたい教訓を3つ。

 1.暑くて不快指数が高いときこそ、普段より慎重に行動すべし。
   くれぐれも「あつさのせい」の出来心で人生を棒に振ることのないよう自戒せよ。

 2.暑いときこそユーモア精神を忘れず「罪を憎んで人を憎まず」を実践すべし。
 
 3.持ち物には記名をすべし。


お気に召しましたら・・
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posted by えほんうるふ at 00:23 | Comment(6) | TrackBack(0) | 危なっかしい絵本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
この絵本よく読み聞かせします。
いつもキャッキャッ笑って読んでました。


しかし 犯罪ですね。
刑法に結びつけたことはございませんでした。
目からウロコ。

夏真っ盛り 暑さ真っ盛り
最後のありがたい教訓3つ 忘れません。

Posted by emme at 2009年07月21日 21:54
>emmeさん

スズキコージさんの作品は絵力も話もぶっとんでいて子供達の食いつきがよいので、私もよく読み聞かせ会で使います。
でもこの作品を読んでいると「それ、どろぼーじゃん!」「本当はいけないんだよね〜」等と突っ込んでくる可愛げのないガキ、もとい賢いお子様も現れるので、一応「本当のところ」も説明できるように勉強しました(笑)
Posted by えほんうるふ at 2009年07月22日 10:45
ちょうどこのブログが書かれた頃、忙しく、そのあとも忙しく暑さのせいと夏風邪のせいで、読みのがしてしまうところでした。
ご無沙汰しています。
黙っているというだけで、わらしべ長者とは反対に、芋づる式犯罪学へと発展していくってのも、単純明快な物語の面白さですね。
これがらか、絵本の世界は「まぁまぁ、細かいところはおいといて‥‥」というところがやめられないのかも。
その柔軟性を持ったらいいのか〜〜と、違うところで勉強になりました。ついでに刑法も!(笑)
漂流物‥‥って、海から流れてくるものもかなぁ〜?
Posted by mine at 2009年08月23日 04:17
>mineさん

こんにちは♪
お身体の方はもう大丈夫ですか?
私も子供達が夏休みに入って以来、自分の時間が極端に減ってしまい、ブログもかなりご無沙汰になってしまっています(^^;)

そうそう、この柔軟な発想というか、何でもありを良しとする懐の深さが絵本ならではですね。結果的に誰も傷ついていないのだからいいじゃん、というゆる〜い処世術を学べます。現実世界もこれぐらいのほほんと過ごせたらいいのにね。


Posted by えほんうるふ at 2009年08月24日 08:39
暑いとね。イライラしますね〜

この所めっきり秋めいてきましたね。

Perpanasのブログアドレスが変わりましたのでご報告致します。
http://blog.perpanas.com/
です。
お手数おかけ致しますが設定の変更をお願い致しますm(_ _)m

Posted by Irie at 2009年09月02日 15:53
>irieさん

ご無沙汰してます。
子どもが夏休みの間、ブログに向かう時間がなかなか取れなくて放置してました(^^;)
perpanasのURLの件、ご連絡ありがとうございました♪ 早速変更しておきます〜
Posted by えほんうるふ at 2009年09月02日 23:04
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