2009年05月31日

食卓の原風景

トッチくんのカレーようびトッチくんのカレーようび
やまもと まつこ

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カレーようびには、どこのうちでも カレーライスをつくるんです。

だからトッチくんのおかあさんは今日もカレーを作る。
何百人、何千人ものおかあさんがカレーを作る。
玉ねぎに涙がぽろぽろ流れても、そんなことに構ってはいられない。
だって今日はカレー曜日なのだから。

1年ほど前から、我が家の金曜の夕飯メニューはカレーライスと決まっている。
子供達(特に息子)が、やたらとカレーの日を待ちわびるので、いっそ毎週の恒例にしてしまえと思ったのがきっかけ。
いつも多めに作るので、必然的に翌日の土曜の昼もカレーになる。
さすがに2日目なので、ドリアにしたりうどんにしたりとアレンジを考えるが、要するにカレー味であることに変わりはない。

毎週毎週同じ献立でよく飽きないものだと思うが、給食もカレーだからと気を回して別のメニューにしたりすると、必ず家族(特に息子!)からブーイングが出る。
カレーはカレーでも、母のカレーは別物なのだという。
「二郎のラーメンは、ラーメンではなく『二郎』という食べ物である」みたいなものか。
いやいや、私の作るカレーは別に特殊なものではない。
ルーも市販の物だし、具も豚肉と玉ねぎ・にんじん・じゃがいもが基本である。
あえて特徴を言うなら、必ずトマトの水煮缶を1缶まるごと入れるのと、チャツネ代わりに何かしらジャム類を入れ、煮込み時間短縮のために圧力鍋を使うことぐらいだ。

そんなごく普通の家庭のカレーなのに、子供達は毎週金曜の夕食を心待ちにしている。
毎週のことなのに「やったぁ!今日はカレーだぁ!!」と小躍りしている息子を見るのは楽しい。
一口食べるなり「やっぱりおいしいねぇ〜」と、目を細める娘を見るのも嬉しい。
帰宅するなり「お父さん!今日はカレーだよ!!」(知ってるっちゅーに)と子供達に得意げに声をかけられ、お約束のように「お、やったね!!」と喜んでみせる夫を見るのは、微笑ましい。
多分、そうやって微笑んでいる私を見るのが彼らも嬉しいのだろう。

何の変哲もない我が家のカレーの味が特別な理由がここにある。
安心できる味、安心できる居場所。同じ気持ちを家族で共有すること。
毎週末繰り返されるこの情景の全てが、私たち家族の幸せの象徴になっているのだろう。
たかが週に一度の食卓のマンネリなんて気にすることはない。
むしろ十年一日が如く、いつものカレーをいつものように食べることが大事なのだ。

1週間の締めくくりに、確実にこの食卓の原風景を再現すること。
料理のレパートリーを広げるよりずっと簡単、でもずっと大切な私の仕事だと思っている。
だから我が家の金曜日は、これからもずっとカレー曜日に違いない。


お気に召しましたら・・
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posted by えほんうるふ at 21:48 | Comment(6) | TrackBack(0) | 嬉しくなる絵本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私は母のちらし寿司が好きだったりします。
もちろんカレーも。
けれど、うちの母は「美味しいでしょ?!」と、
しつこく聞くのでひねくれていた私たち家族は
「別に‥‥」と、いつも素っ気ない。(笑)
けれど、やっぱり、ちらし寿司と、カレーは好きです。
えほんうるふさんのご家族の風景が、すごく心に沁みます。
「料理のレパートリーを広げるよりずっと簡単、でもずっと大切な私の仕事」
これは、本当に素敵なお仕事だと心から思えますし、
何よりその向こうに見える笑顔を私まで共有してしまいます。
私の母もそう感じていたのだろうか‥‥。
今度、実家に帰るときはちらし寿司でもねだろうかしら。
Posted by mine at 2009年05月31日 23:54
こちらにもコメ。
お初です。

二郎のラーメンのくだりは笑えましたが、
確かにそういうものなのかもと思いました。
私は母が作った無骨なプリンとアップルパイが世界一と思ってますが、きっとそれは、味以外の、日常の幸せな光景やらなんやらがスパイスとなっておいしくさせてたんでしょうかね。

しかし、いい家族の光景だなぁ。
Posted by くますけ at 2009年06月01日 00:15
>mineさん

家族が何も言わないと、私も聞いちゃいますよ、「美味しい?」って。

でも素直に「美味しいよ」って言えない気持ちも分かるなぁ。
私の母は常に自分の料理の腕に自信満々だったので、素直に賞賛するのが悔しいような気がいつもしてました。
母は未だに私が何を作っても手放しで褒めてくれることはなくて、「ま、所詮私には勝てないけどね」って態度なので私も絶対褒めてやるもんかって思ってる(笑)。

でも、作り手としてはやっぱり口に出して褒めてもらうと嬉しいんだよね。
いつかお母さんに言えるといいですね。
母さんのちらし寿司はやっぱりおいしいね、って。
Posted by えほんうるふ at 2009年06月01日 14:50
>くますけさん

わざわざこちらへもお越し頂きありがとうございますm(_ _)m

母の手作りのお菓子、っていうのもいいですよね。
見た目があらら、でも全然OK。
むしろそういう「お店では売ってないもの」感に価値があるのかも・・・。
世界一のプリンとアップルパイ・・何となく情景が目に浮かびます。あ〜おいしそう!!

色んな人の「うちのオカンの世界一うまいもの」を聞いてみたいです。
Posted by えほんうるふ at 2009年06月01日 14:57
えほんうるふさん 
ご無沙汰しております。
3月くらいまではちょこちょこお邪魔して
たんですけど、更新されないな〜と思っているうちにバタバタと日本に帰ってきまして、ひさしぶりに
お邪魔しましたら3つも記事が更新されていて
びっくりしました。
カレー曜日の話、いいですね!!
お母さんしてますね〜。息子さん前回は、珍獣扱いされてましたが(笑)かわいい★
私も子供ができたら、曜日を決めてカレーつくろっと。
そういえば、うちは妹が赤ちゃんの頃、人形劇の「三国志」見ながら土曜日 手抜きカレーでしたね。別にうれしいわけでもなんでもなく、普通に食べてましたが。あれも今思えば、思い出なのかなあ??

Posted by SOULSLEEP at 2009年06月09日 20:41
>SOULSLEEPさん

お帰りなさい。ええ、最近は頑張って書いてます、これでも(^^;)

三国志つきのカレーっていうのも楽しいですね。カレーといえば三国志。なんて。

記憶の残り方って面白くて、食べ物から映像が浮かんだり、香りから心の痛みを思い出したりしますね。
子供の頃の記憶はだんだん薄れてしまうけれど、私は根っからの食いしん坊なので食事に関する思い出はいつまでもしつこく思い出すようです(笑)
Posted by えほんうるふ at 2009年06月10日 10:51
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