2009年04月02日

珍獣を育てる愉しみ

もしもぼくがおとなだったら…もしもぼくがおとなだったら…
ヤニコヴスキー・エーヴァ / レーベル・ラースロー

文溪堂 2005-07
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子供が将来の夢を語る絵本はたくさんある。
この作品でも、子供が無邪気に「オトナになったらあーしたい、こーしたい」を列挙している。
ただし、この絵本の最大の特徴はこの主人公が男の子であるということだ。
彼が大人になったらやりたいと夢見ることは、女子には到底理解できないものがある。
「そんなことをしていったい何が楽しいのか?!」
悩んでも無駄なのだ。彼らはそういうふうにできている。
息子を持つ母ならば膝を打つこと請け合い。
大人になりきれていない男性に悩まされている貴女にもおすすめの一冊である。


「いつか、男の子を育ててみれば分かるよ」
我が家にまだ2才の娘しかいなかったころ、ある友人がそう予言した。
彼女と私はお互い初めての育児に奮闘する新米ママだった。
違いと言えば、彼女は男の子を、私は女の子を授かったということぐらい。
思えば娘は手のかからない幼児だった。
公園で放っておいても服や手が汚れないよう自分で注意していたし、ちょっと目を離しても振り向けばそこにいた。
同じ頃、件のママ友は公園中をかけずり回る息子を追いかけるのに忙しそうだった。
そんな彼らを微笑ましく眺めていた私は、わずか数年後に彼女の予言の真意を思い知らされることになる。

初めは、これは単純に長子キャラと下の子キャラの違いなのだろうと思っていた。
しかし息子が成長するにつれ、どうもそれだけでは説明のつかないことが増えてきた。
一言で言うと、子供が「ふと思いついてやってみた」行動の内容が、ほぼ母親の想定内なのが娘で、ほぼ想定外なのが息子なのだ。
想定外どころか行動の目的すら理解不能ということも多い。
そういえば前述のママ友はこうも言っていた。
「言っとくけど、本当にこっちが想像も出来ないようなことするからね」
今思えばそれは哀しいほど適確で素晴らしく役に立たない警告であった。

それでも息子が幼い頃は、所詮まだ野生の王国の住人なのだから仕方ないとタカをくくっていた。
問題は、そこそこ人間らしくなったはずの7才の息子の思考回路がますます私を悩ませることだ。
一姫二太郎は楽なんじゃなかったのか?
確かに一人目の女の子育児は楽だった。でも、二人目にその育児経験が通用しない場合もあるとは誰も教えてくれなかった。
ままならぬ育児に疲れた私は、藁をもつかむ思いで「男の子育児」に関する本を読みあさった。
ついでに、男女の脳の違いを研究した本やら異性間コミュニケーションに関する本も読んだ。
そして悟った。
息子を理解できないのは当たり前だった。何故なら、彼は幼いからこそ純粋な「男」だったからだ。
「いつか、男の子を育ててみれば分かる」のは本当だった。

どうせ理解できぬのなら、いっそ違いを違いと認めた上で対処法を学ぶほうが楽だろう。
そう考えた私は、息子は自分の常識の及ばない珍獣なのだと思うことにした。
実際、我が子を育てているというより、珍獣を飼育していると思うほうがよほどストレスが少ないのだ。
このちょっとした発想の転換がよかった。
手がかかるほど可愛さ100倍という珍獣飼いの楽しみに目覚め、私は心の余裕を得た。
何しろ日々こちらの常識をくつがえす謎の生態なので、見ていて退屈しない。
しかも習性を正しく理解すれば案外扱いやすい生き物でもある。
それでも常にこちらの常識と彼の野生がぶつかりあう日々ではあるが・・

ちなみに世界で偉人と呼ばれる男性の多くは、幼い頃の珍獣ぶりが後世に伝えられている。
エジソンしかり、アインシュタインしかり。
今や珍獣マニアを自称する私は、はじけた男子を見かけると先々が楽しみでたまらない。

しかし、どうも近頃は野性味のない個体が多くてつまらないのだ。
街に出れば小綺麗で妙にお行儀が良いお利口さんな男の子をよく見かける。
優しくて穏やかな草食系男子が好きな私も、幼い子供に限っては、何となく不自然なものを感じてしまい落ち着かなくなる。
それは本当のキミなのかい?と確認したくなる。

自然界が面白いのは、そこに多様性があるからだ。
草食系もいれば肉食系もいて、その間にもっと色んなタイプがいて、それぞれがそれらしい生き方をしている。
でも、人は自分たちの利益のためにたくさんの個性的な生態を持つ珍獣を絶滅させてきた。
同じように人間社会でも、少しずつ集団の利に叶わない個体が絶滅に追いやられているのかも知れない。
その先には、穏やかで整然とした素晴らしく退屈な世界が待っているのだろうか?


お気に召しましたら・・
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posted by えほんうるふ at 14:46 | Comment(6) | TrackBack(0) | 目からウロコが落ちる絵本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
一番乗りどえ〜す!

確かに男の子って想定の範囲外のこと、やってくれますいね。そこがまた面白いんですよね。女の子にはその面白さは味わえない。

英語の先生していたころ、私のクラスは年を重ねるごとに男の子の比重が増えちゃうんですね。裏を返すと女の子がやめていっちゃうってことなんですが、どうしても女の子が残る先生と男の子が残る先生がいるみたいです。えほんうるふさんも男の子が残るタイプでしょう?

我が家の息子は幼い頃はそれなりにやんちゃでしたが、学年が上がるにつれ草食系になってしまい、あたりはやわらかくていいんだけど、その気力のなさ、活力のなさに今から先が懸念されます。
Posted by ぴぐもん at 2009年04月03日 11:29
>ぴぐもんさん

年を重ねるゴトにだんだん教え子の男の子率があがるって面白いですね。私はどっちなんだろうな。やはり自分が男の子相手の方が気楽なんで、そっちが残りそうな気がしますね。

草食男子!いいじゃないですかー!ただでさえ大きくなるといるだけでむさ苦しいのに(実は私には男兄弟が3人もいます)、このままガツガツした肉食男児のまま成長するなんて考えただけでめまいが・・
Posted by えほんうるふ at 2009年04月03日 20:26
うちは娘だけど、いつも公園で追いかけてたなあ。
でも、たしかに性差の傾向はあるね。

今は娘の反抗期が始まり、毎日が試練。
体も使ってくるから、もう猛獣よ。(苦笑)
反抗期が出せる親でいられたことに感謝して、
自分は他でストレス発散だあ。
Posted by かめちゃん at 2009年04月05日 09:13
>かめちゃん

ああ、そうだったねー!
子供の個性は幼いほどビビッドに出るから、性差なんて余裕で越えちゃうのかも知れないね。
ただ、その子その子にあった対処法を知るのが大事ってことは共通かな。知ってると知らないじゃ大違いだよね。

反抗期かー(^^;)
うちの坊主も今、かなり佳境に入ってますよ。
相対評価で上の子のよい子っぷりに拍車がかかってますが、実は後で来る上の子の思春期の理由無き反抗の方がずっと手強いはず。
だって私がそうだったもん(爆)
Posted by えほんうるふ at 2009年04月06日 22:56
イマドキの反抗期は、
10歳と思春期の二度味わえるらしいよ。
っつうことは、うるふちゃんは4回ね。(笑)

私は大人になってから反抗期をやって親を責めまくったので、
今娘の反抗期が来てホッとしてるよ。

お互いテキトーに頑張ろう!
Posted by かめちゃん at 2009年04月10日 23:18
>かめちゃん

4回か〜そりゃお腹いっぱい味わえちゃうね(涙)
はしかと一緒で子供の頃に済ませるほうが軽くすむってか(^^;)
構えずに、ゆるゆるとやりすごしたいね〜
Posted by えほんうるふ at 2009年04月14日 21:33
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