2008年12月31日

究極のハイリスク・ハイリターン

くわずにょうぼう (《こどものとも》傑作集)くわずにょうぼう (《こどものとも》傑作集)
稲田 和子

福音館書店 1980-07
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2008年は寒い1年であった。
何がってもちろん、懐が。相場が。世情が。お偉方の失言が。
大晦日を迎えてなお、どこを向いても景気の悪い話ばかりで気が滅入る。

一昔前なら、夫の稼ぎが期待できないとなれば、妻が節約・倹約で生活防衛を計るしかなかった。
企業戦士たる男性が手っ取り早く伴侶をゲットして子孫繁栄を図れるよう、お上がお膳立てしてくれた嫁取りシステム「夫婦分業」によると、夫の役割は「稼ぐ&養う」でしかなく、そこを外れることは想定外の事態を招く恐れがあった。
だから、単純かつ効果絶大なはずの「妻も働きに出る」という策は夫達の根強い抵抗にあったのだ。
しかし、社会が成熟してこのシステムが崩れた今、当然ながら大黒柱の存在意義よりも懐事情が優先されるようになり、働きたい妻の社会進出を夫が拒むケースはほとんど聞かなくなった。
逆に、専業主婦志望の妻VS共働きを望む夫という新しい対戦カードが出現している。
いつの世も、変化に対応できない人間は自らの首を絞めることになる。


「くわずにょうぼう」は、もっと昔の、職住一致で夫婦共働きが当たり前だった時代の話。
よくばりな男が、よく働いて飯を食わない女房が欲しいと願う。
そこへ望み通りの奴隷志願の美女が現れ、男はこれ幸いと喜んで妻に娶る。
思惑通り、食わずにせっせと働く女房にご満悦の男が、さぞかし米が溜まっただろうと倉を開けてみると、あったはずの米俵の山がごっそり減っている。
このシーンで描かれるマヌケ男の驚愕ぶりがスゴイ。
「ガァァァーン!!!」という男の心の叫びが見えるようで、間違いなくこの絵本のベスト頁だと思う。
今秋の兜町で心ならずもこの挿絵の男を自ら再現してしまった人も多いはず。合掌。

さて、思惑が外れたばかりか、この後豹変した女房にとんでもなく恐ろしい目に遭わされる羽目になる悲惨な男の物語から、我々は何を学ぶべきか?
うまい話には裏がある・・いやいや、そんなことは自明の理。
結婚はバクチである、これこれ、これに尽きる。

つまり結婚は素人が手を出すにはリスクが高すぎる商品なのだ。
(E・テーラーぐらい場数を踏めばプロを自称できるかも知れない)
なんせ元本保証はおろか、下手すると命も危ない。
どれだけ研究したつもりでも、事前に入手できるデータは所詮表向きに公表されているIRでしかなく、実情は限りなく不透明。
かくして結果は結婚生活の始まりと共に一気に、或いはジワジワと判明する。
思惑はずれて損切りしようにも膨大な手続きとペナルティが課せられ、容易に手放せない。
だから世間には塩漬けウン十年という夫婦がゴロゴロいるわけだ。

それでも人は、結婚でしか得られないはずのプライスレスな利得を夢見て、ついこの危険な賭に打って出てしまうのである。
もっとも、最近はリスク回避に熱心なあまり婚期を逃す人も多いようだが…

では、結婚を人生の墓場にしない秘策はないものか?
一番シンプルで確実な方法は、「損得勘定をしない」ことだと思う。
これが私の生きる道、という潔さが大事なんである。
健やかなるときも、病めるときも、富めるときも、 貧しいときも。
そこで共に生きていることにプライスレスな価値があるはずだ。

うーむ、年末に相応しい偉そうな一文が書けたぞ。しめしめ・・

ちなみにここ数年、私は専業主婦として生活している。
働くことは大好きなのだが、今は家でやりたいことが多すぎるので、経済的には夫にまるまる依存する生活に甘んじている。
これがよっぽど暇人に見えるのか、よく「働かないの?」と聞かれるので、「働かなくていいの?」と夫に聞いてみた。
彼の返事は、「別にいいんじゃない、今は。家で忙しいんでしょ。」だった。
確かに私は忙しい。1日24時間じゃ全然足りず、睡眠時間はいつも5時間以下だ。でもその忙しさの原因の9割は家族のためというより自分のためだったりする。
幸い夫にとってはそれも織り込み済みで、要は妻がそれでハッピーならその方が平和で良いらしいが・・・要するに、共働き時代の「家事分担抗争」や「常に気持ちに余裕が無く一触即発でキレる妻」の復活を阻止したいのだろう。


日銀も認めた景気の悪さは、このまま新年に持ち越されるらしい。
今はお気楽専業主婦の私も、いつどうなるか分からない。
ただ、もし夫が突如職を失うようなことがあれば、がむしゃらに働いて家計を支える覚悟は常にある。生活レベルを一気に落として糊口を凌ぐのも、ゲーム感覚で楽しめる自信だってある。
いざ、来年もたくましく生きていきましょうぞ!!
縁あってこちらをお読みいただいた方、どうぞよいお年を。

p.s. soulsleepさん、更新おそくなっちゃってゴメンナサイ。これから年末年始恒例の嫁の勤めを果たしてきます・・・

posted by えほんうるふ at 02:07 | Comment(8) | TrackBack(0) | 大事なことを教わる絵本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
わーい、一番乗りです☆リクエストにこたえていただき、ありがとうございます!
うるふさん、昨晩はタイヘン遅くまでお疲れ様でした。
さっき、「もしやそろそろUPされてるか?」とのぞいてみて正解でした!

題名からのけぞりました。。たしかに、先物取引以上ですよね、全くたべない女房なんて話がうますぎる。
・・うーん、そうかあ結婚はバクチだったのか。
私、結婚はいす取りゲームだと思ってたんですけど、あたりはずれもあるんですね!・・恐いなあ。。

年末年始と、お嫁さん稼業お疲れ様でございます。
良いお年をお迎えください。また来年もよろしくお願いいたします♪




Posted by soulsleep129 at 2008年12月31日 13:54
ご無沙汰です〜〜〜〜〜!!
ずっと更新してないものかと、この切り口の良さを待っておりました!
とうとう、私、今年絵本をプロデュースしました。
子供には読ませたくないと母親が表紙を見てすぐに思うかもしれない絵本です。

それはともかくとして、この切れの良い文章、
今年最後に読めてすっきり〜〜〜!!
すごく嬉しいです!
お暇なときでもよろしいので、またこの絵本の感想で世相を斬る‥的な文章を楽しみにしています。
どうぞ良いお年をお迎え下さいませ!
Posted by mine at 2008年12月31日 17:38
>soulsleepさん

松の内を明けたところで申し上げるのもなんですが、明けましておめでとうございます。
冬休みも終わり、ようやく我が家にも日常が戻って参りました。

結婚はイス取りゲームかぁ・・・なるほど。
だから勢いが肝心だって言われるのかしらん。
でも絶対座りたくないイスしか残ってなかったらどうするんだろう(^^;)

ところで今年の抱負の一つは「オトナノトモ最低月イチ更新」に致しました。頑張ります!
Posted by えほんうるふ at 2009年01月08日 00:27
>mineさん

ご無沙汰しちゃってました。今年もどうぞ、よろしくです。

絵本の感想で世相を斬るだなんて(^^;)そんなご大層なもんじゃないですよー。そうやって構えるとまた更新が延びるので今年は肩の力を抜いていきますわ・・

ところで絵本をプロデュースされたとか。おめでとうございます!ということは、今年はさらなる飛躍の年ですね(^^)
詳細はブログに載っているかしら。後ほどお邪魔しますね♪
Posted by えほんうるふ at 2009年01月08日 08:47
今年もよろしくっす♪待ってました!今回もザッパリ切っていただき爽快っす。あぁ〜気持ちよかった。
「結婚はバクチ」最高です。まさにそのとおり。あんなに憧れだった結婚なのに蓋を開けると苦労ばっかり・・・かと、思いきや、ものすごく幸せもあって、何だろうね。それが結婚なんだろうね。と、この話は長くなるので、この辺で。
くわずにょうぼう。あたし大好きなの♪深夜に働く嫁の姿を見ることがいけないのか?はたまた、ケチっていた夫がいけないのか?キレイな奥様をもらうことがいけないないのか?
展開に音楽が想像できるこの絵本は、TOP10にランクイン!
Posted by すまいる at 2009年01月10日 02:41
>すまいるさん

久々だね。今年もどうぞよろしく♪

すまいるのところは、ガッチリ博打で買ったんだな、と思っていたよ。だってたまに写真で見るとすっごく幸せそうなんだもん!
でもうちもそうだけど長年のうちには色々あるよね(^^;)
まあ、その「長くなる話」の続きはいずれ聞かせてください。

くわずにょうぼうは私だったりして・・と思う今日この頃。
ダンナはこの博打、負け続けのようです(笑)
Posted by えほんうるふ at 2009年01月14日 10:38
お久しぶりです。今年もよろしくお願いします。

さて、何も食べずによく働くお嫁さんの話は確かに読んだことがあるのですが、最後のオチがどうしても思い出せません。今度図書館行ったとき見てみます。

えほんうるふさんが専業主婦っていうのはちょっと意外な気がします。そして仕事じゃないことに忙しいっていうのも「何やってるんだろう?」と妙に気になります。

私の周りでは、どういうわけか子どものいない人ほど専業主婦が多いんです。子どものいる人はたいてい一番下の子が中学生になるまでには何か仕事見つけていますね。子どもを育てるにはお金がかかるので働かざるを得ない現状があるのだと思います。だから専業主婦ってある意味贅沢な存在なんですよね。

それでもってどういうわけか専業主婦の人達って忙しい忙しいと口々に言うんですが、なにがそんなに忙しいのか不思議でしょうがありません。他人の私生活は見当もつかないですね。

今久々にえほんうるふ節を読んでみて、ふと思ったんですが、結婚生活のなれのはてを書いた話ってないようで結構あるんですね。いくつか頭をよぎりました。日本では破局に終わるものが多いみたいですね。近々書いてみようかな・・・なんて思いました。

Posted by ぴぐもん at 2009年02月01日 00:19
>ぴぐもんさん

お久しぶりです。忘れた頃に更新される私のブログに、こうして変わらずのぞきに来てくれる方がいるのは本当に嬉しいです。

>えほんうるふさんが専業主婦っていうのはちょっと意外な気がします。

ははは。私も意外な気がします。とか言ったりして。
世の中にはプロの専業主婦とお呼びしたいような、完璧なハウスキーピングをなさる方もいます。あれは忙しそうですね。家事って真面目にやり出すとキリがないですから。
でも私は誓ってそういうタイプの主婦ではなく(笑)、単なる「片付けられない女」なのです。
普通に家事をしていても、何か思いついたことがあると即調べたり出かけたり作り始めずにはいられないので、気がつくとやろうと思ったことが半分も終わらないまま一日が終わっているのです。やれやれ。
幸か不幸か、我が家の場合は夫が私以上に強烈な片付けられない男なので、怒られはしません。
でも、夫婦揃ってこれでは子供の教育には最悪ですね(^^;)

世の専業主婦が皆私と同じパターンで多忙を極める一日を終えているとは到底思えませんので、他の皆さんはいったい何で忙しいのでしょうね。
私にも謎です。
Posted by えほんうるふ at 2009年02月02日 14:57
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