2005年12月21日

育児ストレスを笑い飛ばす

4097274384センシュちゃんとウオットちゃん
工藤 ノリコ
小学館 2001-11

by G-Tools

今年もまたクリスマスがやってくる。小さいお子さんのいらっしゃるご家庭ではそれぞれにサンタ稼業の準備に余念がないところだろう。我が家でも散々考えてようやくプレゼントの準備ができたと思ったら、その翌日、子供部屋で「サンタさんへ サンタさんはいないとおもっているひともいますが わたしはしんじています。プレゼントは○○をください。」という娘の直筆メモ(手紙?)を発見してしまった…。これで○○に書いてあるのがとてつもない高級オモチャや「現金」だったなら笑って無視するところだが、逆に拍子抜けするほどささやかな願いだったので、急遽計画変更をして彼女の願いを叶えてやることにした。来年の手帳に「事前リサーチは慎重に。」と赤字で書き込んだことは言うまでもない。
 
さて、せっかくなのでオトナノトモでもなにかクリスマスにちなんだ絵本を…と思っていたが、たまたま手元にあったお気に入りの絵本のなかに、クリスマスエピソードがあったのを思い出したので取り上げてみる。

絵本「センシュちゃんとウォットちゃん」はセンシュちゃんと共に暮らす仲間達の季節感あふれる日常生活を短いストーリー仕立てにしたマンガ風の絵本で、どの話もとびきり可愛くて面白い。
その中の1話、「センシュちゃんとウォットちゃんのクリスマス」はこんなお話だ。
クリスマスイブの日、朝からクリスマスの飾り付けやごちそう作りの準備に忙しそうな友だちを尻目に、センシュちゃんはのんびりクリスマスの絵本なんか読んでいる。その絵本でサンタが煙突からやってくる絵を見たセンシュちゃんは「先に煙突の中で待ち伏せしていればみんなの分のプレゼントも独り占めできる!」と思いつき、嬉しくてニヤニヤしてしまう。さっそくその夜みんなが寝静まった頃、ひとり密かに屋根によじ登り、煙突に入り込んでわくわくしながらサンタさんを待つセンシュちゃん。ところが今年に限ってサンタさんはドアから入ってきて、出迎えたウォットちゃん達にプレゼントを手渡すのだった(笑)。なぜかその場にいないセンシュちゃんのために「あのー…、いまちょっといないんですけど、センシュちゃんのぶんもください」とサンタさんにお願いする優しいウォットちゃん達。ところがサンタさんは「こんなよふけに おうちにいないわるいこには、あげられないなぁ…。」とあっさり立ち去ってしまうのだ。その言葉を煙突の中で聞いたセンシュちゃんはあせって出ようとするが、狭い煙突穴に体がぴったり挟まって身動きが出来ない!! さて大ピンチに陥ったセンシュちゃんは無事にプレゼントをゲットできるのか…?


工藤ノリコさんの描く幼児が好きだ。どこまでも自分中心に世界が回っていると信じて疑わない、良く言えば天真爛漫、はっきり言えばワガママで欲張りで厚かましいワンパク坊主たち。中でもこの絵本の主人公センシュちゃんのパワフルな悪童ぶりは群を抜いていて、まさにキングオブ自己中なガキンチョなのである。こんなコドモが実際に身近にいたら心底うんざりさせられるに違いないのだが、不思議と絵本の中のセンシュちゃんはひたすら可愛くておかしくて、全然憎めないのだ。

考えてみると、センシュちゃんのようにコドモらしいコドモは今時珍しいのかも知れない。少なくとも私の周囲でみかける幼児は大抵もっとしつけが行き届いていて、センシュちゃんのように目先の私利私欲に駆られて後先考えずに行動するアホなコドモはあまり見かけない。目の前にお菓子や玩具があっても、コドモらしくワーッと飛びついたりせず、妙に行儀良く親の顔色を窺ったりとか、言わずとも周囲のオトナの期待を察するよい子がけっこう多いような気がする。オトナにとっては育児の手間が省けてまことに都合がよい傾向なのだろうが、私にとっては育児の醍醐味に欠けるというか、なにか間違っているような気がしないでもない。だいたい、コドモがそんなに出来た人間では、オトナの立つ瀬がないではないか…。

何を隠そう我が家の上の子がまさにオトナコドモなよい子ちゃんタイプで、他人の思惑を気にするあまり自分の本当の気持ちを素直に言えないようなところがある。幼い頃から手がかからず親としてはそれは楽をさせて貰っているのだが、どうも彼女は常に自分の「よいこレベル」を保とうと余計なストレスをため込む傾向があるので、もっと気楽に好き勝手に生きろよ!と願わずにはいられない。

一方、下の子はまさしくセンシュちゃんのキャラクターそのもののワガママ坊主で、それまでの育児経験が全く役に立たないのが悔しいやら情けないやら…。さらに反抗期に入って上の子にはほとんど必要のなかった怒鳴りつけやおしりペンペンの毎日にうんざりしていた頃、ふと出会った「センシュちゃん」の絵本に思いがけず癒されたのである。無邪気な小悪魔そのもののセンシュちゃんの行動に爆笑するうちに、そういえばコドモって本来こんなもんだ、だからこそ面白いんだ!と思えてきて、より客観的に我が子の行動を観察できるようになった。だいたい、センシュちゃんの極端なワガママぶりに比べたら、息子の駄々コネなんて可愛いものだ。そう思って敵に向かうとこれがまた、楽で優雅なよい子の育児にはない刺激と笑いに満ちているのである。今では、息子が彼らしい強引な理屈でむちゃくちゃな自己主張を始めても、家族の誰かが「でた!センシュちゃん攻撃だ!」とツッコミをいれると即座に笑いのネタになる。眉間にシワを寄せて「このガキャ〜っ」とイライラするより、精神衛生上にも美容上にもたいへんよろしく、みなさんにオススメしたい。

とういうわけで「センシュちゃんとウォットちゃん」は、ワンパク坊主を授かって育児ストレスが爆発しそうな全国のお母さんへ、私からクリスマスプレゼントとして贈りたい絵本である。

※他にもナイスなキャラクターがいっぱいの工藤ノリコさんのオフィシャルホームページはこちら。
posted by えほんうるふ at 23:38 | Comment(12) | TrackBack(0) | 笑える絵本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
早速図書館に行かないとっ!子どもも大人も十人十色なんだよねぇ〜。我が娘もセンシュちゃんの気配がする・・・。
娘は自分のしたい事が出来ないと、体を反って反抗。家に帰る。風呂を出る。おなかいっぱい。ガスコンロで遊びたい。みかんの皮を食べたい・・。
まっそれも彼女の個性ってことで!

絵本の内容が親子で共通の話題になってるなんて、サスガッっすねっ!
Posted by smile at 2005年12月22日 00:37
>smileさん

工藤ノリコさんの絵本は、アナタには特に絶対オススメだから!ぜひチェックしてみてください。
ドーターちゃん可愛いねぇ。体を反るって懐かしいなぁ。うちのセンシュもよくハトヤのCM(知らんか)の鯛みたいに親の腕の中で暴れていたなぁ…。幼児との暮らしはほんと毎日が「そ、そうくるか…orz」の連続で、退屈しないよね。しゃべり出すともっと面白いのでお楽しみに!
Posted by えほんうるふ at 2005年12月22日 11:10
すごいですねぇ!はは。センシュちゃん、強烈です。表紙の絵で、かなりイケテルのがわかります。(^^)
兄弟姉妹って、どうしてキャラが違っちゃうんでしょうねぇ??? いまだにナゾです。まぁ、同じだとつまんないとは思うんですが。はは。
この絵本、要チェックでしょうか。
--(や)--
Posted by 山猫編集長 at 2005年12月24日 09:48
>山猫編集長

ほんとに、同じ親から出てきたとは思えないぐらい上と下でキャラが違うんですよ〜。おかげで毎日退屈しません。

センシュちゃん、いいですよ!表紙から何か感じ取ってもらえるぐらいなら、きっと楽しんでいただけます。ちなみにうちの息子、実際のルックスもセンシュちゃんにけっこう近いです。このふてぶてしさが…(笑)。
Posted by えほんうるふ at 2005年12月25日 01:20
えほんうるふさん、こんにちは!

センシュちゃん(専守・・・と、反射的に漢字変換してしまった)とウォットちゃん(Watt・・・Wott・・・と、反射的にアルファベットに変換しようとしてつまづいた)の両方をあわせもっていた魔女さんです。黒毛のアンか、トットちゃんかといわれておりました。(^^;)
絵本の中の二人もいいけど、えほんうるふさん家の仔おおかみくん達がすんごくいいよぉ〜。子どもらしいいじらしさとまっすぐさが、すんごくいいよぉ〜。
母おおかみと父おおかみのもと、どうか子ども時代をめいいっぱい子どもとしてすごすんだよ。
素敵なおおかみ一家に、メリークリスマス!
Posted by 本棚の魔女 at 2005年12月25日 02:48
>本棚の魔女さん

こんにちは。クリスマスメッセージ、ありがとうございました(^o^)

魔女さんは、ダーリンとどんなクリスマスを過ごしたのでしょうか? 愛する人と二人きりのクリスマス…ロマンチックでいいですねー。こっちはそんな甘さはカケラもない怒濤のクリスマス連休でしたが何とか楽しく乗り切りました♪ 仔おおかみ達の楽しい思い出作りは成功したんじゃないかと思います。3日間はしゃぎっぱなしだったので明日から熱でも出すんじゃないかと心配ですが…(^^;)

今年もあと少し、元気で笑って新年を迎えたいものですね♪
Posted by えほんうるふ at 2005年12月26日 00:43
えほんうるふさん、
ご無沙汰してます。こんにちは。

ハトヤのCMの鯛…うちの次女もそうでした。
都営地下鉄新宿駅のホームでひっくり返った次女を長女と待つこと10分間。いまでも側を通りすぎていくおじさまたちの白い目がありありと思い出せます(笑)
今ではふたりで協力してクリスマスツリーを片付けてくれるまでになりました。短い子供時代、思う存分ご堪能あれ!
Posted by NOBITA at 2005年12月26日 13:42
えほんうるふさん、お久しぶりです。
素敵なクリスマスをお過ごしだったようですね。
子どもにとって、クリスマスってその時間と空間だけ切り離されてしまったような、不思議なモノですよね。
クリスチャンでなくても、これだけ大騒ぎをするというのは、ある意味異様でもありますが、でもそれはそれでいいことだと私は思います。
これだけ科学技術が発達したにもかかわらず、サンタクロースという存在を子どもは誰もが信じているのだから・・・。そして、その正体がわかる日がきたとしても、サンタさんに込められた『夢』を大切にしてもらいたいな・・・大人自ら・・・も。
あ、記事とはあまり関係ないか・・・。

うるふさんちのお子さんたちがそうであるように、我が家の3人の子どもたちもそれは、まったく個性豊かで別人格です。親の私はそれを大いに楽しませてもらっていますよ。
クリスマスにいいお話をありがとうございました。
では、どうぞ良いお年を!




Posted by ka-3 at 2005年12月27日 01:38
>NOBITAさん

「ハトヤの鯛」で通じる方がいてホッとしました(^^;)。しかも、お嬢さんがうちの息子とタイプが似ているようですね。うちの息子もやりました、駅の構内での爆泣き。最初はちょっと感動しました…「おお、これが噂に聞く『公衆の面前でひっくり返っての大泣き』か!これは今時なかなか見られないぞ〜」などと思い、隣にしゃがんで通行人の冷たい視線を感じつつも楽しく観察したものです。コドモの方は怒られるより観察されるほうが恥ずかしいらしく、案外すぐにやめちゃうんですけどね(笑)。
Posted by えほんうるふ at 2005年12月27日 13:05
えほんうるふさま
我が家のクリスマスの後日談を・・
任天堂DSをサンタさんにもらったうれしさに
3時間くらいぶっつづけでやったため
DSを取り上げられて部屋の隅ですることもなく、
取扱い説明書をジーッと見ていた上の子は突然
「お母さん!サンタさん12月8日に降りてきてるよ
ヨドバシカメラってハンコ押してある サンタさんお金あるんだね〜」と
最後のページの保証書を見つけ感嘆の声をあげていました。
ここまで理不尽でもサンタを信じる子供は面白い。
Posted by 絵本おじさん at 2005年12月27日 13:14
>ka-3さん

こんにちは。しばらくぶりですね。
仰るとおり日本は宗教に関しては無節操なところがありますね。これも日本人の商魂たくましさのなせる技なのだろうと思うと乗せられるのもしゃくなのですが、子どもがいるとつい楽しければいいか、と思ってしまいます…。ちなみに我が家のコドモ達はカトリック系の保育園へ行っているせいか、クリスマスの意義など親よりもよほどちゃんと知っていて、サンタがくるのはあくまでもおまけのお祭りだと思っているようです(笑)。

母親としてのka-3さんは、きっとちゃんと一人一人の子どもの特性を尊重して大事に大事に育てていらっしゃるのだろうと想像しています。お子さん達は、素敵なお母さんを誇りに思っているのではないでしょうか。

ひとりひとり恵まれたものや背負っているものは違えど、子育ては楽しい、楽しめるものだと思っています。これから先もずっとそう感じながらコドモ達と接していけたら幸せですね。
Posted by えほんうるふ at 2005年12月27日 13:23
>絵本おじさん

しんのすけくん(仮名)、さすがですね。前にも言ったことがありますが私は絵本おじさん家の二人のお子さんの大ファンです!

ところでサンタ工作活動の件ですが年々難しくなりますね。今年息子はサンタからのプレゼントに機関車トーマスの玩具(オークションで買った中古)と、小さな木製の駒をもらったのです。この駒がなかなかすごくて、子どもが指先で何気なく回してもとても安定していて長く回るのです。つい夫と「さすがネフ社のものは精度が違うね〜」なんて話してたら娘に聞こえてしまって、「おかあさんよく知ってるね、サンタさんに聞いたの?」と言われてあせりました(^^;)

実は私自身が輸入玩具好きでやたら買ってしまうので、もう遊ばなくなったのをこっそり隠して寝かせておいて数年後コドモ達がその存在を忘れた頃にプレゼントとして出したりしてます。この手もそろそろ使えなくなりそうです。
Posted by えほんうるふ at 2005年12月27日 13:48
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